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イベントレポート

配信日時:令和6年1月9日(火)10:00~
          2月13日(火)17:00
講  師:浅利 美鈴さん(総合地球環境学研究所 教授)
視聴回数:第1部(252回)
      第2部(194回)
      第3部(184回)
主  催:東京都消費者月間実行委員会
配信日時:令和6年1月9日(火)10:00~2月13日(火)17:00
講  師:浅利 美鈴さん(総合地球環境学研究所 教授)
視聴回数:第1部(252回)/第2部(194回)/第3部(184回)
主  催:東京都消費者月間実行委員会
 

 より多くの、また、幅広い年代の方に参加していただけるよう、エシカル消費講演会を録画・公開配信にて開催しました。環境につながるごみの問題は世界的にも関心の高い課題です。学生時代から長くごみの調査・研究に取り組んでいる、総合地球環境学研究所教授の浅利美鈴さんを講師に迎え、「ごみを見つめて未来を変える SDGsとごみ対策」をテーマにお話いただきました。
 以下は、講演の概要です。

講師の浅利美鈴さん
講師の浅利美鈴さん

第1部:ごみから見る私たちの暮らし

ごみとは

 ごみは、法律では「自ら利用したり 他人に売ったりできないため 不要になったもの」と定義され、「所有者から不要で価値がないと思われて捨てられたもの」です。必要性や価値の判断は人によって異なり、環境や状況、時代によって変わると言えます。

 

ごみの調査

 京都市と京都大学が連携し、1980年から、同じ地域を対象にごみ袋を500袋ほど集め、細かく分けるごみ展開調査を始めました。朝から街に立ち、ごみステーションに捨てられたごみをそのままの形で持ってきて 、重さを量って分けていく作業に入ります。まず粗分け作業を行い、例えば紙製の容器包装を集めた中から、手提げの紙袋、お菓子の箱、パックなどに分けます。最終的には大体400種類ぐらいに分類します。結果を見て、ごみを減らすにはどういうことができるか、集めたデータをもとに社会がどう変化をしてきたか分析しています。

 

ごみ調査の結果概要

・「家庭ごみ(燃やすごみ)」の重量内訳では水分量が多い食料品が一番大きいです。その中には卵やパン、うどん、野菜など手つかずの食品が多く捨てられていて、問題だと思います。また、注目すべきは内訳の2割を占める「使い捨て商品」です。調査が始まった1980年にはほぼ無かったカテゴリーですが、ウェットテッシュ、カイロ、紙おむつなど、今では身近なものになりました。最近の傾向として、使い捨てライターは減り、コロナ禍でマスクが増えました。紙おむつは高齢化の影響で大人用は子ども用を上回る量が出ることもあります。また、ペットを飼う家庭が増え、ペットシートも増えています。「家庭ごみ(燃やせるごみ)」の容積内訳では、約50%は容器包装材で、レジ袋も有料化の影響で減っていますが、なお数%を占めます。

講師資料より 講師資料より
講師資料より
 

・「家庭ごみ」の40年の推移の代表例として、レジ袋は40年前から使われ始め増えていき、10数年前にマイバッグ運動で大きく減りその後横ばいでしたが、有料化でさらに減らすことができました。カップ、コップ、トレー類も40年前ぐらいから使われ始め、その後も増え続けています。少子高齢化などにより個包装が増えていることや、コロナ禍で持ち帰りや宅配が増えたことも影響しています。
 必要なものは使わざるを得ないので、必要ではないものをいかに減らすかというのは大事な視点です。消費者として、いろいろと考えるべきことがあると思います。

第2部:「資源循環」や「地域・里山」は、脱炭素/炭素中立(CN)社会の切り札

脱炭素/炭素中立(CN)社会へ

 カーボンゼロ時代ということで、排出する二酸化炭素と吸収する二酸化炭素をプラス・マイナスゼロにするというライフスタイルを2050年までに達成する方向へ日本も世界も動いています。それに向けて、私たちはどういう行動ができるのでしょうか。食事では食品ロスの削減、移動手段では公共交通機関の利用やテレワークの推進、住居では断熱リフォームの実施や「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」への住み替えなどが挙げられます。また、資源循環の取り組みは温室効果ガス排出削減に貢献できます。排出量のうち資源循環が貢献できる余地の割合は36%と推計されています。(第40回環境省中環審・循環型社会部会)

 

「大量生産・大量消費・大量廃棄」は「時代」だった

 京都市における100年間の家庭ごみ排出量の推移をみます。江戸時代は100%循環されていて1900年ぐらいから少しずつ増えました。第二次世界大戦時、ごみはほぼゼロだったと考えられていますが、1960年代から70年代にかけて大幅に増えました。ここで大量生産・大量消費・大量廃棄の時代に変わったと思われます。この時代は東京オリンピックや万博があり、日本はまさに高度経済成長期だったのですが、その陰でいろんなもったいないが生まれたと考えます。その後ドルショック・オイルショックで一時減りましたが、バブル景気の波に乗って増え2000年ごろピークになり、現在は半減しています。これは日本全国も同じで2000年にピークを迎え、現在はかなり削減できています。このグラフを見せると世界中の人が驚きます。基本的には経済状況とごみの発生は同じ動きをすると考えられていましたが、日本の場合はいわゆるデカップリング、経済状況や生活のレベルは保ちながらもごみの削減に成功しています。今後もっとごみを減らせる可能性もあると私は見ています。

京都市のごみ排出量 講師資料より
京都市のごみ排出量 講師資料より
 

時代を変える策と、今すぐにでも「自分ができること」

 大量生産・大量消費・大量廃棄の一方通行のリニアエコノミー(線形経済)から、資源の効率的な利用により付加価値を生み出す資源循環を行うサーキュラーエコノミー(循環経済)への移行が、日本や世界の方向性になっています。次の時代をつくっていく中で、皆さんがどういう対策ができるのか、4つの論点を考えました

講師資料より
講師資料より
 

【1】蛇口をしめて、付加価値を高める…リデュース
 本物・こだわりのもの、長く使えそうなものをよく吟味して買う。買う物を 家族で相談して決める。地産地消、地元の産業のものを購入する。買う前に在庫を確認する、実は買ってしまったら同じものがあったというのはよくあると思います。収納場所を少なくし、マネジメントをするのもお勧めです。食品ロスに関してはたくさんできることがありますが、空腹で買い物をしないということも一つです。

 

【2】リサイクルの前にリユース(シェア、アップサイクル含む)する…リユース
 例えば本の場合、それを図書館で借りるとか 古本屋さんで購入して利用するのがリユースです。最近はシェアリングやレンタルが流行っていますが、有効な手段だと思います。

着物をアップサイクルしたKYOTO SUITSのショーにて、日本には数億枚の着物が眠っているといわれる 講師資料より
着物をアップサイクルしたKYOTO SUITSのショーにて、日本には数億枚の着物が眠っているといわれる 講師資料より
 

【3】循環資源をしっかり回収して再び製造工程へ、そして社会に戻す…リサイクル

・電気電子機器、電池類、紙、金属、ガラスなどは分別リサイクル、に出していただきたい。プラスチックについては白色食品トレーは店頭の回収、それ以外も分別リサイクルへ。最近注目を集めているのがてんぷら油で、回収してSAFと呼ばれるサステナブルな航空燃料を作ろうという動きもあります。

・注目すべき資源循環の例
プラスチック:2022年4月「プラスチック資源循環法」がスタートし、環境省は「プラスチックはえらんで減らしてリサイクル」というキーワードで施策を訴求しています。身近な変化では、コンビニやスーパーなどでストロー、スプーン、フォークなどをもらうときに確認が必要になったり、素材を変えたりということもあります。ホテルや旅館で、今までは無償で提供されていたアメニティ類を減らす取り組みなども始まっています。
バイオマス:食料品は大半が日本では焼却されています。食料品のバイオマスも実は貴重な資源と考え、発酵させてガスを取りだし、残りを液肥・肥料として使う方法もあります。今後は焼却一辺倒ではなくなるかもしれません。
金属・レアメタル:炭素中立社会の実現のためのインフラには鉱物資源が必要です。使用済みの家電製品などを集め、補うことも策でしょう。

 

【4】世界で1つの大きな「ばけつ」から地域ごとのたくさんの「ばけつ」の組み合わせにする
 地産地消する、地域の活動に様々な形で参加する、多くのものを生み出しているのが地方(田舎)ということで、田舎に移住したり、通ったり、関係性を構築することもとても大切だと思っています。農山漁村でできたものを都市に供給し見返りを還元していき、それぞれが豊かな形で持続していく、そういう姿を描いていこうというのが地域循環共生圏の考え方です。色々な形で地域に携わることができますので、ぜひ自分でできる方法を考えていただきたいと思います。

 

第3部:未来への兆し

地域での取り組み

 京都での取り組みを紹介します。京都の里山にSDGsラボを開設し、地域資源を回収し、時にはアップサイクルとして次の使い手につなげていくことなどを行っています。また、実際にプラントを立て、京北地域の生ごみを生分解性の袋で回収しバイオガス化する技術的な検証をしています。ここからでた液肥を農作物の栽培に利用します。

 

海外との比較

 日本・アメリカ・フランスの都市部の消費者の食の意識に関するアンケート結果で、日本はマイバッグ持参は1位で食品ロスは2位ですが、地産地消やリサイクル品、アップサイクル品の利用など軒並み最下位です。世界との意識の差が広がっているのではないかと危惧しています。消費者行動というのは本当に大切で、皆さま一人一人の行動を1つでもいいので変えていただけると他の行動にもつながっていくと思います。
 欧州での調査を報告します。ヨーロッパでは環境配慮製品が売り場の1、2割を占めるようになりきました。一方、日本ではこのような製品を探すのは難しい状況です。また、パリでは普通のスーパーや薬局で、必ず量り売りのコーナーがあります。2030年までに400平米以上の店舗では量り売りの売り場を20%設けるということが決まっていて、それに向けて着々と進んでいることを感じました。特にパリでは量り売りのものが一番お買い得で割安になっているのも消費者の行動を後押ししていると思います。フランスでは、2024年1月1日から国民に生ごみの堆肥化が義務付けられるので、先日パリを訪問した際には、コンポスト、食品ロス削減や食品リサイクルに関するグッズ、本などが販売されていました。

講師資料より
講師資料より
 

未来への兆し

 小中高生、若者に向けたプログラムを展開しています。その中で皆さんとお話をしていると、私たちよりもずっと真面目に未来のこと、社会課題を捉えていると強く感じることがあります。京都市立安朱小学校では地域の皆さんと一緒にSDGsをテーマにして学習を進めています。生徒さんはSDGs17項目を頭に入れ、地域を歩いて回り、その中で持続可能性を阻害している危険な要因や長く守っていきたい自然・文化などを落とし込んでSDGsマップを作成し、発表しました。子どもたちの力を感じ、未来は安心だと思う場面もあります。
 2025年の大阪・関西万博や2030年のSDGsのゴール年、 2040年の大阪ブルー・オーシャン・ビジョン(新たなプラスチックごみの海洋投棄をゼロにする)の目標年、そして2050年カーボンニュートラル社会に向けて、ホップ・ステップ・ジャンプしていかなければならないと思います。大阪・関西万博では、持続可能性について議論し、東京オリンピック・パラリンピックを超えるような取り組みができないか、模索しています。

 

最後に

 上手に最先端の技術も使いながら、私たち自身が価値観やライフスタイルを変えることで、持続可能な社会が実現できると考えます。楽しんで、みんなで知恵を出し合ってできたらと思います。

講師資料より
講師資料より
 

視聴者アンケートより

・ごみからの提言は、非常に深刻であり、まさにそれを出している私たちが考えなければいけない問題だと思う。「作る」「使う」ということの意義や身の回りの豊かさも考え、心豊かに暮らせるように努力したいと思う。

・話が具体的で、できることからやろうというのが、プレッシャーにならずに取り組めそうで良かった。

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