もっと広げようコミュニケーションの輪 10月は東京都消費者月間です。 未来につなげる消費行動 東京都と消費者団体が協働し、10月を中心に消費者問題に関する様々な事業を行います。
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イベントレポート

特別企画 消調査研究報告会 食の安全に関する消費者意識と消費行動』―食の問題あれこれ!あなたはどう付き合いますか?―

東京都消費者月間実行委員会は、食の安全に関して、いわゆる風評被害や責任ある消費行動について問題を明らかにすることを目的として、アンケート調査を実施しました。その調査結果を踏まえ、専門家を交えての報告会を開催しました。

場  所:2月5日(水)14:00~16:00
日  時:東京都消費生活総合センター教室Ⅰ・Ⅱ(飯田橋セントラルプラザ17階)
講  師:関澤 純さん(NPO法人食品保健科学情報交流協議会 理事長)
市川まりこさん(食のコミュニケーション円卓会議 代表)
主  催:東京都消費者月間実行委員会
参加人数:56人

<プログラム>
14:00 開会挨拶 東京都消費者月間実行委員会委員長 笹浪 真智子
14:05 調査報告 東京都消費者月間実行委員 那須 淑夫
14:20~15:20 調査報告をうけて
『食の不安の理由と安心させられやすい嘘-調査結果から考える』関澤 純さん
『私たちの食品は安全か?』市川まりこさん
15:20~15:25 休憩と質問票回収
15:25~15:55 質問に答えて
16:00 閉会

Ⅰ「食の安全に関する消費者意識と消費行動」調査報告

 初めに、東京都消費者月間実行委員の那須淑夫さんが、平成25年8月から11月にかけてインターネットと紙ベースで行ったアンケートの結果を報告しました。

Ⅱ 調査報告をうけて

 次に、関澤 純さんと市川まりこさんから、アンケートの調査結果を受けてお話をいただきました。以下、概略です。

『食の不安の理由と安心させられやすい嘘-調査結果から考える』関澤 純さん

 アンケート調査結果から、皆さんは情報の問題に関心が高く、その情報は沢山出ているのにきちんと伝わっていない、あるいはわからないという人が多いという印象を抱きました。放射能に対する不安が多いのでそれを中心に話します。

1 情報の捉え方
photo  みんな「健康で美しく長生きしたい」と願っていますが、科学的情報は理解しにくいので、合理的な判断ができにくく、○○はダイエットに効くという“おいしい話”や“××は毒かもしれない”などの“恐怖感を煽る怖い話”等の口コミや噂話を信じてしまいます。
 また、強力な広告・宣伝の力と食品添加物は無い方が良いなど一部の間違った教育等により、実際の安全と安心の間に大きなギャップが出来ています。例えば健康食品によって健康被害が生じるように、困るのは、安全なものを危険と思い、危険なものを安全と思い健康を害すことです。さらに、行政や専門家は自らの説明不足に気づかない傾向にあり、特に放射能の基準は十分説明しきれていません。
 私たちは事実を確かめ、誰かが言っていたからではなくて自分の頭で考え、どのような対応が可能でその結果何が起きるか、考えることをお勧めします。様々なリスクをトータルで考え、自分でバランスを考えて優先順位を選ぶ必要があります。
 例えば、ノロウィルス中毒、病原微生物汚染のリスク、生活習慣病関連疾患などの健康リスクに気をつけることが重要だと思います。

2 放射能汚染
 放射能汚染については、汚染されたものを食べる機会は、100回のうち1回あるかないかです。1回食べたからどうこうということはありません。日本は原発事故直後出荷制限しましたし、原乳中のヨウ素131、野菜(キノコ以外)中の放射性セシウムも平成23年5月以降殆ど検出されていません。福島の原発事故当時、汚染水と汚染物質は海にも流れ、魚の汚染が発生しましたが、傾向としては水産物中のセシウム濃度も下がってきています。しかし、怖いのはストロンチウムで、きちんとしたデータが出ていないので、汚染水についてはシャットアウトできたかどうか分からないという状況です。
 食品中にはカリウム40という自然放射性物質と、セシウム137とストロンチウム90という核実験由来の人工の放射性物質があり、私たちはこれまでも多かれ少なかれ浴びています。特に50年前の日本は核実験により、日本中が原発事故半年後の福島の3倍以上の内部ばく露をしていました。
 これまで、除染計画の根拠となる空間線量のデータの提供方法に問題があったり、スピーディーの情報を非公開にするという情報隠しや、除染処理不正が起きたりしました。今後は、事故原子炉周辺の莫大な放射線量を環境へ放出することは絶対に抑えるべきであり、高線量ホットスポットと低線量の除染には優先順位をつけるべきです。
 私たちは日ごろ天然の発がん物質を多少なりとも食べています。魚介類中のメチル水銀や米中のカドミウムなどもあります。これらには食品安全委員会が決めた指標の値があり、これを超えたらすぐに病気になるわけではありません。天然に存在し規制できないものと、規制可能な添加物や農薬では、管理の厳しさには数段の違いがあります。

3 「適切な知識を持ち良識で判断する」ことについて
 虚偽・誇大広告や間違い教育に振り回されないで、事実を知り、必要なことを行い、危害の性質を科学的に理解しましょう。
 また、食品には多様な成分が混在していて、食品の安全は一律に決まりません。同じ食品でも人により健康に良い場合と悪い場合があるので、自分の場合はどうなのか適切な情報を知って判断し行動しましょう。食品では放射線、有害微生物、有害物質以外にもリスクがあるように、私たちは様々なリスクに囲まれて生きています。安全と安心の対応は個々の状況に応じて、必要なこと、できること、やるべきことをはっきりさせ、責任を持って果たすことが大切です。そして、震災によってこれまでの生活も希望も信頼も奪われそうになっている方々のことや、復興が遅々として進んでいない被災地の現実を知り、協力し合ってゆくことが重要です。

『私たちの食品は安全か?』市川まりこさん

 アンケート調査結果を見ると、皆さんの不安の筆頭に上げられるのが食品添加物なので、それも交えてお話します。是非頭の中を整理整頓して隙間を作り、そこに今日の話を入れていただけたらと願っています。

1 食の安全とリスク
photo photo  食品の安全性について、一般の人と食品リスク研究者ではイメージが違います。一般の人は、もともと安全で真っ白なイメージの食品に放射能汚染や食品添加物、残留農薬などの良くないものがついているというイメージを持ちます。それに対し食品のリスク研究者は、全体としてはグレーでよくわからないものが沢山あるリスクの塊の中に、わかっている放射能汚染や食品添加物、残留農薬などがちょっとついているとイメージします。
 「安全」は、まずリスクの大きさを科学の領域で推定します。次に、その推定されたリスクの大きさ(不確かさを含むが)を許容できるかどうか、この判断が、安全かどうかの判断ですね。十分に小さいリスクは、無いも同然の「ゼロリスクレベル」です。「食のリスク」を「危険性の程度」という観点で捉え、食品の中に身体に害を与えるような危険なもの(病原微生物、有害化学物質、異物等)がどの程度含まれているかという視点で見ると良いと思います。
 私たちが感じるリスクは『危険なもの×不安(感情的反発)』で、不安が大きいと実際のリスクよりも大変大きくリスクを感じてしまいます。一方、専門家は『リスク=危険なもの×出会う機会』と捉え、出会う機会が減ればリスクは小さいと考えます。つまり、リスクとは、「危険性の度合い、可能性、程度」のことです。
 食品のリスクの大きさを専門家がイメージすると、「いわゆる健康食品」が一番リスクが大きく、次に「普通の食品成分」となります。真ん中がゼロリスクレベルでこれ以下は安全とみなします。食品添加物や残留農薬はゼロリスクレベルより低い位置にあります。「いわゆる健康食品」は、食品中のいくつかの成分を濃縮したりして販売しているので、食品の成分を一度に多量に取りすぎるリスクがあるのです。
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2 思い込んでいませんか 食品添加物でがんになる・・・?
 がんの原因について、消費者は「食品添加物、農薬、タバコ」の順だとイメージしますが、疫学調査の結果は「食品そのもの、タバコ、ウイルス感染」の順になります。上位3位のイメージが両者で大きく違います。食品添加物は安全性の確認されたものが厚生労働大臣の許可のもとに使用されていて、事業者が自由に使っているのではありません。しかし、消費者にきちんと理解されていません。その大きな理由としては、本来、人は不安情報に弱く、メディアの不適切な報道が指摘・是正されないまま拡散し、消費者の思い込みや誤解がそのままになっているからです。
 食品関連の「基準値」は、安全と危険の境目ではありません。無毒性量という健康に影響が全く出ない値の100分の1を一日摂取許容量(ADI)と決め、それよりさらに低い量に基準値を定めています。ですから基準値を少し超えても影響はありません。

3 食の安全の考え方
 食品における化学物質由来のリスクを最小限にしたいなら、使用基準が管理されリスク評価・リスク管理されている物質(農薬、食品添加物、遺伝子組み換え食品等)ではなくて、毎日なんとなく食べている普通の食品を気にしなければなりません。
 健康に影響するリスクが大きいのは、食中毒、アレルギー、肥満、いわゆる健康食品、異物混入事件などです。
完璧に安全な食品は無いので、色々な種類、産地、料理法でバランスよくほどほどに食べることが大事です。そして、知識を更新し、「安全」と「安心」と「好み」を区別しましょう。不安な時は「どれ位リスクなのか」とリスクの程度で考えるようになって欲しいと思います。

Ⅲ 質問に答えて

Q1 胎児が放射能被ばくしたら将来リスクがあるのではないですか?
A1 確かに細胞分裂の多い時のほうがDNAにアタックを受けやすくなります。しかし、食品安全委員会が使った広島・長崎の体内で被爆された方をフォローをしたデータによると、体内被曝しても2世に有意差を持って有害な影響は見られませんでした。体内被曝しても母体の守る力が強かったのでしょう。
Q2 加工食品の原料原産地表示について
A2 どういう理由で知りたいのかを自分に問うて欲しいです。どこの国、どこの県だから安全だ、危険だということではありません。安全を知るための表示ではなくて、チョイスする時に役立つ表示の一つと考えて欲しいです。
Q3 子供は、パン等を沢山食べるので、食品添加物を沢山摂取してしまうのではないですか?
A3 食品添加物の基準値は、慢性毒性試験をしていて子供のこともきちんと考えたものになっています。ただし、パンやお菓子ばかり食べるのはバランスを欠くので、特に乳幼児には食べさせ方に気を配って欲しいです。
Q4 遺伝子組み換え食品ついて
A4 食品安全委員会で安全性の評価をしています。遺伝子組み換え食品が危険だといっている人たちの主張については、世の中の専門家の大多数が認めているのか、あるいはそうではないかそういうことにも関心を持って欲しいです。安全性が認められたものについては、好き嫌いはあってもいいですが、要らない、なくすべきは極論だと思います。

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報告会参加者アンケートより
参加者56人のうちアンケートへの回答数は37人でした。この内、70%の方から「とてもよい」「よい」の評価をいただきました。

目からうろこが落ちた思いです。常識と考えていたものが、実は自分がこうあって欲しいという思いの上に成り立っていると気づきました。(50代男性)
不安に思っている子育て中の母親に広めていきたい情報でした。メディアに振り回されない自分を作っていきたいです。(30代女性)
自分自身で判断ができるよう情報を集めて色々なところにアンテナを張り、努力することが大切です。
(60代女性)

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