誰もがくらしやすい未来へ~10月は東京都消費者月間です くらしフェスタ東京2020

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八王子会場イベントレポート

「こんな時代だから知っておきたい!この時代に合わせた食とくらしの知恵」

日  時:令和2年11月20日 金曜日
      14:00~16:00
会  場:八王子市クリエイトホール 5階ホール
共  催:東京都消費者月間実行委員会・八王子市
講  師:魚柄 仁之助さん(食文化研究家)
参加者数:68人

 八王子市クリエイトホール5階ホールにおいて、“くらしフェスタ東京2020 地域会場 八王子会場“の講演会「こんな時代だから知っておきたい!この時代に合わせた食とくらしの知恵」を開催しました。
 講師は、食文化研究家で多くの著書を出版しておられる魚柄仁之助さんにお願いしました。今年は、コロナ禍で多くのイベントが中止される中で、来場者のマスク着用、検温、手指消毒、移動間隔、座席の配置など感染対策を徹底させながら実施しました。この講演会への関心は高く、68名の入場者を迎えることができました。

感染対策を万全にして来場者へも応対
感染対策を万全にして来場者へも応対

 以下は講演の概要です。

コロナ禍の今、免疫力を高める


 この講演では約半世紀の間、私が実践してきた食生活についてご紹介します。これは誰にでも当てはまるものではありませんし、「これが正しい」「こうしなさい」と提案するものでもありません。体質や遺伝や個人差もあるので、一つのものが絶対よいということはあり得ません。
 私が日ごろ実践していることの一つは、体を適度に動かして活性化させること、疲れたらしっかりと休養を取ること。つまり体のメンテナンスを行うということです。もう一つは栄養補給です。昨今、ダイエット食などで脂質や糖質を摂らない人がいるようですが、脂質、糖質を摂ることも大切です。これらはガソリンのようなものです。偏らずにバランスよく食べるということは、免疫力、抵抗力を上げることとなり、少しでもリスクを減らして生きるということにつながります。

コロナ感染防止対策のため間隔を空けて着席
コロナ感染防止対策のため間隔を空けて着席

「攻めの食生活」ではなく、「守りの食生活」を


   私は実は臆病な性格なので、細く長く人生をまっとうすることを考えています。自分のことを自分でできるように「守りの食生活」を心がけています。では「守りの食生活」とは何か。それは「何を食べるか」ではなく、「どのように食べるか」です。自分で手に入れられるものをどうやって食べるか、これはサバイバル食に似ています。例えば避難所で食中毒に気を付けながら、配布されたおにぎりをどう安全に食べるかといったことは災害時に役に立ちます。

 今おかれている状況で、どのような食べ方をすると自分の身を守れるか。食中毒細菌などの特性を知ることや体の仕組みを知ること。つまり正しいことを知り、正しく恐れることで、自分の身を守ることができるのです。

熱弁をふるう講師の魚柄仁之助さん
熱弁をふるう講師の魚柄仁之助さん

食べ方上手への道 =「食力をつける」


 産地のものを直接購入して安全に食べる、といった食生活もここ最近、定着してきました。でも、いいもの・安全なものを手に入れることで満足していませんか。冷蔵庫で腐らせるなんてことはありませんか。私は手に入るものを如何に「安全に食べるか」と同時に、「無駄にしないで食べきること」を心がけています。大根を1本買ったら、使う分以外は切り干しを作って使い切る、といった具合です。また著書の中でも紹介していますが、今ある条件の中で、どうやっておいしいものを食べるか。卵が無くてもマヨネーズは作れるし、チーズが高くて買えないなら、大豆を使って「チーズもどき」を作ってみる。これが私の考えている「食べ方上手」です。
 「炊飯器ではなく、土鍋でご飯を炊いています。」という話を聞きますが、土鍋でしか炊けないのであれば炊飯器で炊くのと大差ないです。本当に大切なのは、どんなものでも炊けること。ご飯が炊ける仕組みを知り、どんなものでも炊ける。身につけるべきは「今そこにあるもので、おいしく食べることができる力」だと思います。
 学校の「食育」は、主に体験することが中心となっています。農家に行って田植えをしてみる。農家さんの話を聞いてみる。収穫したものを食べてみる。「お米を作るって大変なんだね。」と体験で終わってしまうことがよくあります。でも体験というのは一回やってみておしまいです。そこで私が皆さんに伝えているのが「食力」です。身近にあるものを本当においしいものに作り変えていく力。自分の食を自分で賄う力。これは、体験しただけではできません。練習しなくては絶対できません。身につけるには、①「見る聴く学ぶ」の次に、②「自分でやってみる」、そして、③「繰り返して生活習慣にすること」が必要なのです。

新食生活を考える


 1年前には想像さえしなかったコロナの流行で、私たちは、何が来てもおかしくない世の中だということを改めて認識させられました。これから先も災害はくるでしょう。鳥インフルエンザや豚熱ウイルスも確認されています。食物に何らかの事情で病気が蔓延することがないとは言えず、今と同じように食べられる保証なんてありません。

興味深い話に思わず聞き入る参加者
興味深い話に思わず聞き入る参加者

 1970年代から食料も輸入するほうがむしろ安かった飽食の時代は、円が強く経済力があったから成り立っていたことです。しかし、このコロナ禍で、あらゆる産業で経済力が落ちこみ廃業に追い込まれ、同時に高齢化も進み、作る技術も失われていくばかりです。
 これから大切なのは、小規模な生産者を小さな組織で守っていくこと。小さな協同組合のようなものが必要となるのではと考えています。消費者と生産者が自分のスキルの範囲内で、お互い支えあって食料生産を守っていくのです。
 私は、微力ながら知り合いの農家で作ったものを美味しく残さず食べる工夫をしています。消費者が直接かかわりを持ち、買い支えること、食べ支えることで、生産者を守り、その技術を守ることができるのではないでしょうか。

生活力やスキルを磨いて支え合う


 コロナ禍での自粛中、「なるべく外出せず必要最低限のものを買いましょう。」となりました。そんな中、人々が買い求めたものがたくさんありました。まずは、お弁当やインスタント食品、すぐに食べられるものやその場で食べられるものです。その次は、お米やジャガイモなど保存のきくものでした。しかし、ジャガイモも使い切れず、芽を出して捨ててしまった人もいたのではないでしょうか。
 私は、今家にあるもので食べられるものがないかと思い、緑豆でもやしを作って食べたりしていました。昔は、鯛の頭や牛筋やマグロの頭が安く手に入ったので、美味しく食べる方法を考えて、紹介していました。安いものを買うというよりは、今そこに余っているもの、誰も見向きもしないものをおいしく食べるということを昔から実践しています。
 「私の作るものは大変そう、難しそう。」と言う人もいますが、実は、小学生の理科が分かれば誰でもできます。しかし、おいしくできるかは、練習しないとできません。繰り返しすることでスキルが身につくのです。
 私は「スキル」という言葉を使っていますが、スキル=技術ではないと考えています。スキルは特技です。繰り返すことで、目をつぶっていてもできるようになる、それがスキルです。
 どんな食材でも自分の力でおいしくできる、そのスキルを自分の食生活に活かすことで、自分たちが生きるための生活力につなげる。そして、隣に一緒に食べてくれる人がいる。これが社会です。家族でなくても、隣の家のおばあさんでもよいのです。食べる相手がいるから作る、食べてくれる人がいることに感謝する、その気持ちを持ってみんなで助け支え合いましょう、というのが私のスタンスです。
 子ども食堂は、家庭で食事を満足に摂れない子どもたちに余っているものを提供し、食事を提供してあげる。でも、私はこれで終わらせたくはないと思っています。私は子ども食堂に来ている子どもたちと一緒にご飯を作る。私のもっているスキルを伝えてあげる。同調や同情だけで終わらせない、お金や物が介在しない、支えあえる生活圏が必要だと思っています。今の子どもたちには、まず、自分の食べるものを食べるために作れるスキルを身につけてほしい。それが、本当の食育だと考えています。
 私は、スキルを持っているので、そのスキルをどんな人にも提供したい、遠慮なく使ってほしいと思っています。持てる者は、おおらかであれ。私はいつもこの気持ちでいます。

 これからは新しい生活習慣が求められるでしょう。今までの生活を変えなくてはいけないのです。そんな時「できません。」というのではなく、「まだやったことがありません。」と言って、「やってみる。」に変えることで、皆さんにこの時代を楽しく前向きに過ごしてほしいと思います。

フードドライブ


 会場では、フードドライブを実施しました。品数で99点、重量で34.295kgの食品・飲料が集まり、フードバンク八王子に寄付いたしました。ご協力いただきました皆さん、本当にありがとうございました。

フードドライブ受付の様子
フードドライブ受付の様子
集まった食品の数々
集まった食品の数々

来場者アンケートより


・身近にあるものをおいしく作る食の力のお話、とてもためになりました。周囲の人や家族と共有したいと思います。
・コロナだけでなく、今後何が起こるかわからない社会で、寿命を全うするために小さくてもよいから何かしようと思いました。
・講師の方のお人柄がよく、楽しい講演でした。
・食の大切さを改めて考えさせられました。食材を無駄なく使うことを肝に銘じました。
・コロナで大変な時期ですが、とても良い企画をしてくれたことに感謝です。また参加してみたいです。

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