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NACS 消費者提言委員会

アフターコロナ、AI・IoTで私たちの生活はどう変わる?

 私たちの身の周りでは、既にAI(人工知能)IoT(すべてのモノがインターネットにつながること)機器が実用化され、生活を便利で豊かなものにしている。コロナ禍で、密閉・密集・密接を避ける対策が取られたことから、自宅で社会と繋がるインターネットを活用した機器が急激に増えている。気になる分野の報道や実際に見学したAI・IoTの情報や、利用する注意点を簡単に紹介していきたい。

遠隔診療

 新型コロナの流行で、院内感染を恐れて受診を控える患者に適切な医療を提供しようと、政府は2020年4月に規制を緩和し、コロナ収束までの特例的・時限的措置として、電話やオンラインによる遠隔診療を初診を含めて全面的に解禁した。しかし遠隔診療の利用は他国に比べ伸びていない。厚労省オンライン診療の指針有識者検討会の発表では、6月、7月とも遠隔診療に対応する医療機関が全体の15%、このうち初診対応は6%にとどまっていた。日本で普及が進まない理由に、政府や日本医師会がオンライン診療に慎重な姿勢で、コロナ収束後の規制のあり方が不透明なこと。さらに医療現場からは報酬が「対面の場合より低い」といった声も上がっている。診療報酬額を理由にオンライン導入に慎重な医療機関もあるのなら医療報酬制度の見直しも求めたい。

コロナ禍を支えるIoT、アバターロボット

 コロナウィルスの蔓延により、不要不急の外出の自粛が求められている。そんな折、自宅に居ながらにしてIoTを駆使して外部社会とのかかわりを持つことのできる様々なサービスが提供されている。アバターロボットもそのひとつで、パソコンやスマートフォンからアクセスし、アバターロボットを通じてあらゆる場所であらゆる体験をすることが可能となる。たとえば、海外出張先から社内会議に参加したり、自宅でショッピングを楽しんだり、病院のベッドから水族館を見学したり、へき地から役場の行政相談を受けたり、海外から日本のスポーツを観戦したりと、様々な可能性が広がっていく。自分自身の分身が、将来的にはあらゆる場所で活躍できる社会の実現も近い。これらの動向にも注目していきたい。

海の漂着ゴミ回収にロボットを導入する取り組み

 玄界灘には対馬海流が流れており、世界遺産の沖ノ島や周辺の福岡県の海岸には、アジア諸国からのペットボトルや魚網などの大量の漂着ゴミが流れついている。ゴミは、漁業に打撃を与え、漂着ゴミの除去は高齢化している住民にとって深刻な問題であった。
 九州の市民団体や研究者でつくる社団法人は、ロボットと市民が協力して海をきれいにする活動を目指しており、自動運転機能を持つゴミ集積ロボットが海辺や砂地を走行し、カメラで人の背後を追いかけ漂着ゴミを集める。ドローンは漂着ゴミの堆積場所を探し、ロボットが集めたゴミをドローンが移動させる構想に取り組んでいる。海洋資源の保全は、持続可能な開発目標(SDG‘s)に掲げられており、危機管理の一環としても、今後のロボット活用が期待される。

コミュニケーションロボットによる見守り

 子どもや高齢者の話し相手になるコミュニケーションロボットが数多く製品化されている。
私達が訪問したユカイ工学(株)のコミュニケーションロボット「BOCCO」は簡単な操作によりインターネット経由でスマホと音声メッセージのやりとりを行い、「BOCCO」側から送った声の文字化、スマホから送った文字メッセージを読み上げることができる。連動する「鍵センサー」や「人感センサー」などから得られる利用者の情報を、家族のスマホに知らせる機能で留守番中の子どもや離れて暮らす高齢の家族を見守ることができる。家庭や高齢者ケアサービス事業者、高齢者見守りサービス事業者、高齢者医療、行政等で利用や実証実験が行われ、見守る保育者、介護者の負担軽減に貢献している。

マルチモーダルAIロボット

 コミュニケーションロボットの活用が広がっている一方で、ロボットとの会話がスムーズでない、想定していないことに対処できないといったことがあるようだ。
AIロボットは、データ量が多いほど会話の精度が上がるとされているが、プログラムされていない未知の事柄を扱うことができず、命令や状況を本当の意味では理解できていない。人間の会話では、身振りや顔の表情も交えて情報を伝えるのが普通である。言語と視覚、聴覚、触覚を用いて理解し、情報を伝達する方法が、コミュニケーションにおけるモダリティと言われるもので、人間に近い知覚と伝達ができるマルチモーダルAIの研究が進んでいる。対話の文脈を理解し、顔画像や音声などから深層学習を進めて状況を認識し、自律型の会話ができる、人間に寄り添うタイプのAIロボットが実現して欲しい。

AI・IoT機器を利用する際の注意点

 AIやIoTを使った機器は、暮らしを便利にするが、AIの能力は、プログラムされた範囲にとどまり、目的により収集データを分析作業する為、収集データの質、量によって精度が低下することもある。AIは万能でなく、少ないデータで特定個人に向けた機器を作るのはより難しくなる。
AI・IoT機器を提供する事業者は、収集した個人情報について個人の同意を得ることが義務付けられている。 利用者は自分が意識してないうちに様々なデータを提供していることがある。私たちはAI・IoTを利用する際には、事前に利用規約やプライバシーポリシーを確認し、その仕組みや提供する個人情報の範囲についても認識する必要がある。また、AI・IoT機器を手放す時はデータを削除するなどAIやIoT機器の個人情報漏洩や機器への不正アクセスリスクに注意することが大切である。

NACS消費者提言委員会のAI・IoT機器に関する調査資料はNACSホームページ内をご覧ください。AI・IoT調査資料
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