誰もがくらしやすい未来へ~10月は東京都消費者月間です くらしフェスタ東京2019
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【東京の農業応援企画】

食と農セミナーイベントレポート

『全ては畑にあり ~野菜は五感で味わう~』

日  時:令和元年12月5日(木)14時00分~16時30分
会  場:中野サンプラザ13階コスモルーム
講  師:神保 佳永さん
      (イタリア料理シェフ・食育活動家)
主  催:東京都消費者月間実行委員会
      東京都農業経営者クラブ
      (一社)東京都農業会議
      (公財)東京都農林水産振興財団
後  援:東京都都市農政推進協議会
参加人数:115人

 はじめに、東京都消費者月間実行委員会 平野祐子委員長、(一社)東京都農業会議 青山photo会長、(公財)東京都農林水産振興財団 影山竹夫理事長から開会の挨拶があり、続いてイタリア料理シェフで食育活動家の神保佳永さんから、野菜の魅力と食育についての講演がありました。当日の講演概要をご紹介します。

神保 佳永さん
神保 佳永さん

食を伝える料理人


 私は、父がイタリア料理のシェフ、父の弟が農家など、周囲に食に携わる親戚が多く、家業を継ぐために生まれてきたような人間でした。最初は料理人になるのが嫌で商業高校に進学しましたが、その後料理専門学校に入学しました。
 大人になってヨーロッパに2年間修業に行き、レストランで働きながら、産地に行って野菜を収穫したり、市場で食材を見極めながら、ヨーロッパの農業の素晴らしさを学びました。
 帰国して当初は高級レストランに勤務したところ、高級食材を扱う機会が多く、香味野菜や付け合わせの野菜は、価格が安ければいいと思っていました。
 小さなレストランに移った時に、お客様に「付け合わせの野菜が全く美味しくない。」「料理の考えをシンプルにした方がいい。」との声をいただき、そこで野菜を軽視していたことに気づかされました。
 その頃、千葉県で農業の物産展があり、農家の方々と出会うきっかけがあり、畑を訪問しました。それまでトマトが苦手でしたが、畑で食べたトマトは美味しくて、野菜の美味しさや育てることの大変さが分かりました。
 それまで野菜について無知だったので、農家の方々の協力を得て、農業や野菜のことを勉強しました。本当は私も畑が欲しいと思いましたが、料理のプロとして、生産者と消費者をつなぐ「畑」として「HATAKE AOYAMA」を出店しました。

食育活動


 私の実体験に基づき、子供たちに食の美味しさ、大事さを知ってもらう活動として、東京や他県で小学校を訪問するなど、食育に携わっています。
 地方に行くと目の前に畑があるような環境なのに、スーパーマーケットで総菜を買ってお子さんに食べさせている家庭があり、「食が貧しい」と感じることがあります。
 子供たちに食の素晴らしさを伝えるために、学校と協力しながら、様々な活動をしています。
 屋上で「里山」という菜園を作り、そこで野菜を育て、収穫して調理実習して自分たちの作った野菜を食べる。お世話になっている農家に行って田植えをして、秋に稲刈りをして収穫したお米を給食で食べる、などです。
 子供たちにお米の絵を描かせると、白い粒々やパックのご飯、ご飯茶碗に白いお米を描きます。しかし、農業を体験すると田や稲穂が垂れている絵を描くようになります。またプロの料理人の姿を見て「かっこいい!」と思い、料理人の仕事にも興味を持ってくれます。
 こうした中から農家や料理人になりたい子供や、食べることが大好きという子供が増えてくれれば、日本の食をもっと豊かにすることができるのではないかという思いで、食育に取り組んでいます。

野菜本来の美味しさを知り、伝統を伝える


 東京にも在来の野菜があることを知ってもらいたいと思い、生産者と協力した取り組みや、食のプロを目指す高校生との取り組みを、テレビ番組で紹介しましたのでそれをご覧ください。

番組の内容の抜粋(雑司ヶ谷ナスの紹介)
・雑司ヶ谷ナスの紹介
市場から消えた東京の伝統野菜の雑司ヶ谷ナスを、JA職員の方が復活させ、神保さんがイタリアン風マーボーナスに料理。
・東京都立瑞穂農芸高等学校の生徒達が採取した雑司ヶ谷ナスの種で育てたナスを使って、神保さんがパスタやスープに料理。
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 東京には伝統野菜を始め、野菜が沢山あります。
 その一部でも知っていただき、食で地域が賑わうことも併せて知っていただきたいと、番組で取り上げてもらいました。
 野菜は種から出来ています。土作りも大事です。
 自然災害もあり、休みもない中で、生産者は一生懸命頑張って仕事をしています。そういう方々のことを知って欲しいし、野菜を食べて欲しい。それをつなぐのがレストランのシェフの役目です。消費者の方々にも東京の野菜の旬の美味しさを知っていただくと、もっと食卓の料理が楽しく美味しくなると思います。

全ては畑にあり


 子供たちと一緒に食育活動をしています。自分たちで作った野菜を、切って炒めて料理を作ると会話が生まれ、真剣さが芽生え、集中力が高まります。産地に行って畑に入らせてもらい、農家のお話を聞くことは、農家の方々の貴重な時間をいただくことになり大変なことです。しかし、子供たち自身が本物を見て触れて、プロから話を聞いて実体験することが、子供たちの食の未来につながり、それが日本の食を豊かにしていきます。
 私たちの食は、生産者がいないことには始まりません。素晴らしい食材を提供してもらうには、生産者に元気に作っていただき、ビジネスとして成り立つ生産者を増やしていくことです。それが日本の食を豊かにしていくことになるので、私は「全ては畑にあり」と思っています。
 サブタイトルは「野菜は五感で味わう」です。子供たちが五感を養い、フルに使うことで、食に対する意識が広がります。野菜を通じて子供たちに五感をフルに使ってもらいながら、食の未来を豊かにして、日本の食を支えていくことが大事だと思っています。
 生産者はこれからも東京の農業を支えて頑張って欲しい。消費者は東京の野菜の美味しさや身近に触れ合える環境をもっと知って欲しい。本日のような生産者と消費者が出会う機会に交流を深めながら、東京を食で盛り上げていきたいと思います。

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【農業者と消費者の交流会】


 講演会後は、消費者・生産者・行政のメンバーがグループに分かれ、神保さんにもご参加いただいて、交流を行いました。最近の地球温暖化や自然災害による農業への影響や価格設定のこと、情報発信についてなど、多くの課題について各テーブルで熱心に話し合われました。
 生産者からは「消費者がどのような視点で野菜を買っているのか。」という質問があり、消費者からは「生産者の名前が書いてあると顔が見えて嬉しい。」「今日のように交流して生産者の話を聞くと、これからも買い続けたい。」という声がありました。また、「自分の作った野菜を扱ってくれるお店とつながり販路を拡大して、もっとこれからも頑張りたい。」という生産者からの声も聞かれました。
 「東京から農地が無くなって農業が無くなってしまわないように、これからも応援していきたい。」という消費者の声もあり、これからの東京の農業への元気がもらえた交流会となりました。

【参加者からの主な感想】


<講演会>

  • 料理人の立場から生産者の野菜を多くの方に広めてつなぐ行動や、小学校にも自ら売り込みながら、少しずつ食育を広めている姿勢に感動しました。
  • 神保さんの生い立ち、子供たちとの食育活動、旬の野菜への思い、すべて心に伝わる講演でした。
  • 「本物を見せる」「本物に触れさせる」など、子供に体験させる必要性を強く感じました。
  • 食や農産物から地域を盛り上げようという気持ちがある料理人がいることを、とてもうれしく思いました。

<講演会>

  • 農家の方たちは日々野菜作りに一生懸命取り組んでいる。地産地消も含めて、できるだけ食品ロスにならないように大切に野菜をいただきます。(消費者)
  • 都市農業について消費者の方にアピールできてよかったです。(生産者)
  • 「多少値段が高くても地産のものを購入したい。」「直売所を使いたい。」という意識を持っている方たちがいて、その方達の交流からまたつながっていくことがわかりました。(行政)
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