もっと広げようコミュニケーションの輪~未来を拓く消費活動~10月は東京都消費者月間です くらしフェスタ東京2018
交流フェスタメインシンポジウム東京の農業応援企画エコプログラム地域会場協賛事業
【地域会場】多摩、大田、八王子で開催

イベントレポート

日  時:平成30年11月30日(金)
      14:00~16:00
会  場:クリエイトホール11階視聴覚室
     (八王子市生涯学習センター)
講  師:野尻 哲史さん
     (フィデリティ退職・投資教育研究所所長)
主  催:東京都消費者月間実行委員会、八王子市
参加人数:83人

 クリエイトホール11階視聴覚室にて、“くらしフェスタ東京2018地域会場 八王子会場”の講演会「これだけは知っておきたい!老後の生活を守る知恵」を開催しました。
 講師は、フィデリティ退職・投資教育研究所所長の野尻哲史さんにお願いしました。当日会場内は満席で、来場者は「人生100年時代を生きるお金との向き合い方」について、熱心に聴いていました。
 当日の講演の概要をご紹介します。

95歳から逆算して資産を準備することが大事

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野尻 哲史さん

 一般的に、私たちの収入は60歳前後をピークにしてそれからは収入が減り、支出の不足分を今までの蓄えや年金の助けを借りながらの老後生活を迎えます。
 つまり、30歳から60歳までは、資産形成世代で、支出より収入の方が多く、積み立てながら運用する世代です。これに対して、60歳代での退職以降は、資産活用世代で、支出が収入を上回り、これまで積み立ててきた資産を使って生活をやりくりする世代となります。
 そのなかでも、60~75歳までは蓄えた資産を引き出しながら運用にもしっかり目を向け、資産の減少を遅らせるスタンスが必要です。60歳、65歳、75歳などいわゆる人生の節目に、仕事の収入、年金収入、資産の取崩しなどの収支バランスを考慮します。そして、95 歳まで生きられると仮定して、逆算して「積み立てながら運用する時代」「使いながら運用する時代」「使うだけの時代」という「時代を展望する考え方」が欲しいと思います。

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当日配付資料より
※クリックで拡大表示します

長い人生を生きるのに必要な資金は

 アンケート(フィデリティ退職・投資教育研究所、勤労者3万人アンケート(2014年4月))によると、公的年金以外に必要な退職後の生活資金総額は、平均で約3,000万円となっています。
 しかし、実際に計算すると、例えば退職直前年収が600万円の方が、現状の70%くらいの生活水準で35年間生活すると仮定すると、退職後の生活資金は総額で1億4,280万円かかると推計されます。またその間の収入を、年金が月24万円で、30年間受給した場合、退職後の年金受取総額は8,640万円となります。したがって5,640万円が自助努力の目標額と推計されます。

高額の資金を創り上げるのにどう立ち向かうか

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会場の様子

 この目標に近づけるには、①長く働く②生活コストを引き下げる③資産運用を行うという三つの対策が考えられます。
 ①長く働くことは、人生100年時代を展望するという大きなテーマでは、重要な要素です。働ける機会があるときは積極的に働くことを選んでみてはどうでしょうか。それにより、少しでも資産の引出しを少なくし、運用資金の目減りを防ぐことができます。
 ②生活コストの引下げについては、アンケート(フィデリティ退職・投資教育研究所、資産活用世代のお金との向き合い方アンケート(2017年8月))の回答では、退職後に予想する大きな「出費項目」として医療費、税金・社会保険料、食費などが挙げられています。また、医療費は増えることが懸念され、税金・社会保険料は自分でコントロールできません。個人で対応できるのは食費のみという難しい条件です。
 こうした状況から、生活費を抑えても生活レベルを落とさないという考え方の選択肢として、地方への移住という方法もあります。
 ③資産運用については、公的年金支給までと70歳以降の、金融資産の取崩しに注意が必要です。
 60歳から64歳は、一般的に退職年齢時期といえますが、アンケートでもこの時期は、多めの金融資産取崩しを行っている方が多いようです。しかし、この時期は働くことの可能な時期でもあり、人生100年時代を展望しながら資産を大切に運用する姿勢が大切といえます。

自助努力5,700万円は本当に必要か

 60歳で5,700万円必要だと思いがちですが、そうではなく、95歳までに必要な引出総額が5,700万円です。そして、やり方によって、60歳での資産4,000万円弱で、引出総額5,700万円を創り出すことも可能となります。
 例えば、65歳まで積み立ててきた資産に手を付けないで継続的に働き、貯めてきた資産は運用するという方法で目標に近づくことができます。
 また、生活水準を現役時の60%に引き下げ、資産を運用しながら生活してゆくという方法で、自助努力目標額自体を下げることもできます。

定額引出しよりも定率引出しを

 定額引出しとは、資産を毎年定額で引き出す方法で、定率引出しとは、その時の資産額に一定の率を掛けた金額を引き出すという方法です。資産を運用しながら引き出す際には、運用収益率の変動が資産に大きく影響します。定額引出しではその影響が資産残高にだけ大きく影響し、引出額は一定ですが、一方、定率引出しでは、引出額に影響しますが、残高への影響は限定的になります。
 退職後の後半人生(例えば75歳以降など)を想定すると、定率引出しが有効です。
 もちろん、75歳までを考えると、運用によって毎年の引出額が変動することからも、生活水準を微妙に調整するという努力が必要です。併せて、リスクの低い運用で無理のない運用収益を確保することと、65歳から95歳までを長期的に展望して、その世代の生活力(支出構造・水準)を定率で調整するということも必要でしょう。
 このように、引出率と運用収益のバランスをうまく取りながら、資産の減り方をコントロールすることが重要です。そのためには、資産残高の4%前後を引き出して、3%で運用するといった双方を比較する見方が必要です。この場合だと、毎年1%ずつ資産減ることになりますが、これ位が無理のない想定かと思います。
 そして、運用するのは75歳までとして、75歳以降は運用をやめるか控えめにしておくのがよいでしょう。

3%の運用を考えるには


①分散投資と長期投資の視点を

 もし投資資産を一つにまとめると、その方法がうまくいかなくなった場合、大事な老後資金に破綻をきたすことになります。そういう意味では、いくつかの性格の違う投資資産に分散し運用するという考え方が必要です。また、長期投資という視点は65歳から考えても30年という長い期間の運用が必要とされるということです。このように分散投資と長期投資の双方を組み合わせ、定期的に点検しながら運用を図っていくという姿勢が必要です。


②手数料と税金を考える

 現在の金融情勢では、3%の運用はある程度高い運用率といえます。ただ、運用のプロの力が活用できる投資信託では不可能ではない運用率です。 インターネットの検索サイトを活用すれば、一般の方でも多くの投資信託の運用成績など客観的な情報を得られ、チェックすることができます。
 しかし、投資に際して注意が必要なのは、手数料や税金はどうかということです。 自分にとってそのサービスにかかるコストを払っても見合う投資信託かどうか、という視点で見極めることが必要です。
 また、節税を十分に意識して、 非課税投資(NISA、iDeCoなど)を上手に利用しましょう。

会場からの質問に答えて

  • 若い人にぜひやってほしいことは何ですか。
  • まず積立てをすることです。それも、給与から先に天引きで貯蓄をして、残りを生活費に充てて欲しいです。
  • 子供の教育費と老後資金と、どちらを優先したらよいですか。
  • 今の40代は、これから自分の老後、子供の教育費、親の介護費の三つが一度にかかってくる世代です。計画的に全部やるしかないと思います。
  • 金融資産をどのくらいの割合で運用したらよいでしょうか。
  • 全部で3%になるように考えてください。金利が0%の銀行に沢山預けておく必要はありません。
  • 高齢者の場合、保険に入るより銀行に預けていた方がよいですか。
  • 現役も高齢者も、基本は保険は最低限で良いです。会社の保険はカバーするものが沢山あります。保険はよく見直しができるので、保険料が減らせることがあります。

参加者の感想

  • 老後の資産運用の肝心なところがよく理解できました。
  • 逆算という考え方や、投資信託の検索が分かってよかったです。
  • お金の話を聞ける講座は少ないので、貴重な機会で有難かったです。

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