もっと広げようコミュニケーションの輪~未来を拓く消費活動~10月は東京都消費者月間です くらしフェスタ東京2018
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【エコプログラム】環境に配慮した消費活動

イベントレポート

日  時:平成31年1月17日(木)13:30~15:30
会  場:東京都消費生活総合センター17階 教室Ⅰ,Ⅱ
講  師:原田 禎夫さん(大阪商業大学公共学部 准教授)
参加人数:181人
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原田 禎夫さん

 軽くて丈夫で便利なことから、私達は様々なプラスチック製品を使って生活しています。ゴミとして生活から排出されるプラスチックは年々増え続け、地球環境を汚染し、世界的な問題となっています。今回の、河川のゴミの清掃と調査を続けている原田禎夫さんのお話は、プラスチックゴミの問題と私達の生活のつながりを知り、消費者として何ができるかを考える良い機会になりました。
 当日の講演の概要をご紹介します。

ゴミは自然にはなくならない

 私は、京都の保津峡の清掃や環境教室などを続けていますが、川のゴミにはペットボトルや発泡スチロール容器、空き缶やポリ袋などいろいろあります。缶やプラスチックなどが自然になくなることは決してなく、台風の後などには、何十年も前のデザインの古い空き缶がどこからか流れてきたりします。
 今、世の中ではプラスチック製品に関心が持たれ始めていると思いますが、まずは川の現状を見て知ってもらい、いかに多くの普通の市民にプラスチックゴミに関心を持ってもらうか、持ち続けてもらうかが大切です。

世界で広がるプラスチックを減らす取組

 近年、鼻にストローが刺さったウミガメの写真などが報道され、海のプラスチック汚染の状況が知られ始めたことで、世界でプラスチック製品を減らす取組が広がりつつあります。大手飲料メーカーが、2030年までに包装資材の100%リサイクルを目指すことを打ち出したり、航空会社や自動車メーカーが、飲み物を出す際のプラスチック容器の削減や廃止を決めたり、玩具メーカーが、プラスチックに代わる素材の開発を始めたりしています。ヘルシンキ空港では、食器を紙製や生分解性プラスチックのものにしています。アメリカでは、スーパーで野菜を包装せずに販売したり、水をマイボトルに入れられる場所が分かるアプリが活用されています。
 日本のプラスチックの使用量はアメリカに次いで世界2位ですが、削減の取組はまだ遅れています。それでも、少しずつ変化はあります。例えば、京都の三大祭りでは、リユースの食器しか使えません。やってみると運営側の負担も軽くなり、ゴミも減ったそうです。

プラスチックゴミの元を絶つ

 保津峡の清掃をしていて思うのは、ミネラルウォーターや緑茶飲料のペットボトルのゴミの急増です。日本のペットボトルのリサイクル率は83.9%で優秀だといわれていますが、海外でリサイクルされているものや、サーマルリサイクル、つまり燃やされているものも含んだ数字です。2016年にリサイクルできていないペットボトルの量は、約9万トンもあることになります。(PETボトルリサイクル推進協議会資料より)
 ゴミになったペットボトルは川から海へと流れ込み、波や紫外線の影響で微細なマイクロプラスチックになります。見えなくなったからといって消えてしまったわけではなく、海を漂い続け、漂流中に微生物が付き餌のにおいがするようになるので、海の生物が餌と間違えて飲み込んでしまいます。海鳥の90%がプラスチックを飲み込んでいるといわれています。プラスチックは排出されないので胃に堆積し、海鳥は満腹なのに栄養が摂れずに死んでしまいます。
 このままいけば、海のゴミは10年後には10倍になるといわれています。海ゴミの出発点の一つは皆さんの生活です。例えば、皆さんがマイボトルを使ったり、弁当を注文する時に「バランやストローは使わないでください」と注文するようになれば、いくつものマイクロプラスチックを拾うことと同じになると思うのです。

共感で広がる河川清掃の輪

 NPO法人プロジェクト保津川は、保津峡を綺麗にするため「ごみマップ」を活用しています。これは、参加者が実際に川沿いを歩き、見つけたゴミの情報をリアルタイムに入力して共有するオンライン環境マップです。これをもとに、迅速なゴミの回収と、不法投棄防止などへの適切な対策が立てられます。
 また、このマップ作製は人の輪も広げました。初めに、見回りに参加した地域の高齢者が子や孫に端末機器の操作方法を教わり、それをきっかけに、子や孫の世代も興味を持ち参加し始めました。詳しく知れば、誰かに話したくなります。共感の輪が広がり、今では、NPOのメンバー、地域住民、行政が一体となって活動しています。ゴミは激減し、沿線も整備され、大分綺麗になりました。

経済的インセンティブの活用を

 プラスチックゴミを減らすには、高い環境意識を持つことはもちろん大事ですが、経済的な動機付けも効果的です。
 例えば、近畿・中部地方に店舗を展開するスーパーのマイバックの持参率は、レジ袋有料化前は平均約55%だったのに対し、有料化後は平均約70%になったそうです。(平和堂CSR報告書2012、同2014より)
 また、IT先進国のエストニアは、ITを活用したデポジット制度が効果を上げています。店頭の回収機で簡単に飲料容器の回収と返金ができて、あまり人手をかけずに迅速にリサイクルに回される仕組みが整っているので、「エストニア・デポジット・システム」(非営利組織)によると、ペットボトルの回収率は90%(2015年)で、利益も上がっています(2016年)。
 日本でも、嵐山で2017年度に大阪商業大学の学生と行ったアンケートによると、デポジット制度の導入については、賛成の割合が93%でした。今後、価格やデポジット料金、消費者の満足度などのバランスを検討して導入すれば、定着するのではないかと思います。

一体となって取り組もう

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会場の様子

 2050年には、海には魚よりプラスチックの方が多くなると言われており、このままでは生態系への悪影響や、観光や漁業資源の劣化は必至です。海ゴミの発生源は、ペットボトルの他、ポリ袋や食品容器などの生活ゴミや、人工芝など多岐にわたり、原因もポイ捨てだけではなく、屋外にあるものが破損したり、ゴミ箱から飛ばされたりしてきたものもあると思います。このような現状で、個別の主体・地域だけの取組では、この問題を解決することは難しいのです。
 川から海までの流域の様々な主体が、世代や業種を超えて対等な立場で対話を進め、協働の取組を作り上げるパートナーシップの構築が必要であり、流域が一体となって海ゴミの発生抑制に取り組むことが大切です。

会場からの質問に答えて

  • 川や町に不法投棄やポイ捨てされるものがそんなに多いとは思えませんが。
  • パラパラと捨てられていても「塵も積もれば山となる」です。また、雨が降ると川底の堆積物が出てきて海に流れ込みます。
  • 生活ゴミがどうやって川や海に行くのでしょう?
  • ゴミ捨て場所から、カラスや猫や風など何らかの原因でゴミ袋が破損して、雨で流れるのでしょう。生活で使うプラスチック製品を減らしプラゴミを減らすために、学校の教育の中に取り入れて欲しいです。持ち物はレジ袋ではなくて紙袋にするとか、家庭科の時間に布袋を作って親へ「買い物に使って」とプレゼントするとか。家庭の中の「なんとなくの慣習」を変えるのです。
  • マイクロプラスチックの健康への影響は?
  • 研究中でまだ分かりませんが、疑わしきは使わないことです。プラスチック製品を使わないよう、消費者から企業に声を上げるのが大切です。

参加者の感想

  • 手をこまねいているだけでなく、世界のいたるところで制度や対策・案が実施されていることを知り、希望が持てた。日本にも効率優先だけでなくて、ゴミ減量になるシステムが根付いていけば素敵だなと思えた。(30代)
  • 取り組まれている具体的な地域を例に話されていたので分かりやすかった。マイクロプラスチックが生態系にいかにダメージを与えているかを知り、恐ろしく思う。使い捨ての生活を見直す等、一人一人が真剣に考えるべき。(60代)
  • 川に流れ込むプラスチックゴミの現状、世界での取組、楽しく分かりやすいお話でよく分かりました。まずは落ちているゴミを見て見ぬふりをやめることから始めようと思います。(40代)
  • ペットボトル業界の人間ですが、先生の率直な消費者向けのご意見が伺えて、本日は参加してよかったです。業界として動き出すべき時が来たと改めて認識いたしました。遅すぎるとの先生のご指摘もごもっともです。またお話を詳しく伺いたいです。(30代)

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