もっと広げようコミュニケーションの輪~未来を拓く消費活動~10月は東京都消費者月間です くらしフェスタ東京2017
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【東京の農業応援企画】

食と農セミナー
(講演会と農業者・消費者交流会)
イベントレポート

日 時:平成29年12月8日(金)
      14:00~16:30
講 師:タカコ ナカムラさん(料理家/フードディレクター)
主 催:東京都消費者月間実行委員会、東京都農業経営者クラブ、
     (一社)東京都農業会議
後 援:(公財)東京都農林水産振興財団
参加人数:189人

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東京都消費者月間事業では「東京のがんばる農業応援企画」の第2弾として、「食農セミナー」を開催しました。
 料理家・フードディレクターのタカコ ナカムラさんから、「食と健康とくらしと環境」を同じフィールドでとらえる新しい考え方としてのWhole Food Life(略してホールフード)と、その基本となる野菜だし=ベジブロスについての講演がありました。当日の講演概要をご紹介します。

Whole Food(ホールフード)とは?

 私は、「ホールフード」ということをテーマに活動していますが、ホール(Whole)⇒丸ごと・全体、フード(Food)⇒食べ物で、「丸ごとの食べ物」という意味です。ホールフードのあとにライフ(Life)という言葉を省略していて、「ホールフードライフ」を提案しています。ホールフードとは、もともと皮も根っこも丸ごと食べる「全体食」から生まれた言葉です。これをグローバルな視点で捉えなおし「食とくらし、農業、さらに環境」まで丸ごと考えていくことを「ホールフード」と呼ぶようになりました。ホールフードの初めの一歩は、食材を自分で見て買うことから始まります。自分で買い物をすると、その食材がどうやって作られたか知ることができるし、その食材を使って自分で料理をすることが大切だと思えます。一番ホールフードらしい料理が、野菜の切れ端や皮や根っこを使う「ベジブロス」という野菜のだしです。ベジブロスのヒントをくれた丸元淑生さんの本で、私が一番好きな『生命の鎖』の中に、「自分を守る食事が地球を守る」というフレーズがあって、それを読んだ時に大変感動しました。「われわれが何を食べるかで世界の環境が変わる」と思うと本当に日々のくらしを大切にしていかなければいけないと考え、そのことをホールフードという名前で表現して次の世代に伝えていければと願っています。

奇跡の野菜だし「ベジブロス」

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 野菜(ベジタブル)のだし(ブロス)のことを省略して「ベジブロス」と名前をつけて、始めてから29年目になります。野菜のだしはプロの料理人ならどなたでもやっていますが、違いは、プロは可食部を使いますが、私は今まで皆さんが捨てていた皮や根っこ、へたやわたや種を使うことです。これは「もったいない」からだけではなく、捨てていたところにこそ、野菜の一番の栄養やエネルギーの高い「生長点」というものがあるということを知っていたからです。私にこの「生長点」を教えてくれた佐世保市の農家吉田俊道さんが、ベジブロスを見てくださった時に「ベジブロスってすごくいいね。生長点を全部使っているからいいね」と言われたことで背中を押されて、今日まで多くの人に広げていこうとやってこられたような気がしています。

抗酸化力の高いファイトケミカルを含む

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 野菜の栄養には、ビタミン、ミネラル、食物繊維などがあるのはご存知だと思いますが、今日皆さんに知ってほしいのは「ファイトケミカル」という成分です。このファイトケミカル(フィト(phyto)=植物、ケミカル(chemical)=化学物質)は、植物に含まれる化学物質の総称名です。例えば、トマトのリコピン、人参のβ-カロテンや大豆のイソフラボンなどが代表的なものです。そして、このファイトケミカルは、野菜の皮やへた、種や根に多く含まれるということが、科学的医学的にわかってきています。ファイトケミカルの効用は、抗酸化作用が高いことです。加齢やストレスとともに体の中にたまっていく老化物を体外に出してくれたり、体の中で希釈してくれたりします。その結果、がんを抑制し、免疫力を整える効果があることが少しずつ証明されてきています。ファイトケミカルは、野菜の細胞壁の中に含まれているので摂取しづらいという難点がありますが、野菜を細かく砕くスムージーか、加熱してコトコト煮出して細胞壁を壊すベジブロスで吸収しやすくなります。加熱すると抗酸化力が生より高くなることがデータでも明らかになっています。

ベジブロスのとり方

旬の野菜を中心に、いろいろな野菜をバランスよく使います。種類が多いほどおいしくなります。特にオススメは玉ねぎの皮です。抗酸化成分、血液をサラサラにする成分で、漢方で長く使われていたケルセチンを含んでいます。野菜の組み合わせは、七色のベジブロスになるように色を意識します。彩りがきれいということは栄養バランスがそこそこよいことになります。ベジブロスは、使う野菜が違うから毎回違う味と色になるのは当たり前です。特に注意が必要な野菜は、硫黄成分を含む野菜(アブラナ科のブロッコリー、カリフラワー、キャベツ、ニラ、ラッキョウ、にんにくなど)で、入れすぎると臭くなります。また、色の出る野菜(紫キャベツ、紫玉ねぎ、紅はるか、ビーツなど)は色がベジブロスに移り、作れる料理を選んでしまいます。
 では、ベジブロスの作り方を説明します。

◇ベジブロス(1リットル分)
〔材料〕水…1,300ml 野菜の切れ端、皮…両手で軽く一杯分 料理酒…少々
〔作り方〕鍋に水を入れ、野菜を入れる。料理酒も加え、中火~弱火にして野菜が踊らないように20~30分コトコト煮る。
〔保存方法〕あら熱が取れたら保存容器に入れて保存。冷蔵庫で5日位、冷凍庫で1か月位で使い切る。
〔野菜の貯め方〕料理のときに出る野菜の皮や切れ端、根っこを50℃洗いして水気を取り、ファスナーつきのビニール袋に入れて野菜室で保存。1週間を目安に集める。
野菜が少ない時は、昆布や煮干し、干しエビ、月桂樹の葉など、だしや香りの出るものに助けてもらう。
〔ベジブロスの使い方〕水代わりに使う。ご飯を炊く、インスタント食品のお湯代わりに。和洋中、イタリアン、何でも合う万能だし。
〔野菜の選び方〕顔の見える野菜、安全な野菜を選ぶ。

食とくらし、健康、環境はつながっている

 ベジブロスは、皮や根を使うためできるだけ安全なものを使いたいので、できれば国産、できれば地産地消で、東京は東京の野菜、大阪は大阪の野菜というようにその土地で採れたものを使って「ご当地ベジブロス」というのを作ってみたいというのが、私の夢でもあります。私がベジブロスを始めたのは、美容や健康によいというファイトケミカルのことを知っていたからですが、今の人は農業と、自分のくらしや健康とを別の問題と考えている人が多く、野菜や加工品が安すぎると思います。消費者は、安全で手軽で安いものを求めすぎます。私も安全な野菜を使っていきたいと思っています。、援農や就農するのも一つかもしれませんが、本当に苦労されて頑張っている農家を応援するということは、その農家の野菜を買うということが、消費者のできる行動の一つではないかと思います。野菜を買うことは、「これからもずっと作り続けてください」という農家への応援になります。ベジブロスは健康や美容のためだけでなく、農業を応援する、野菜にもっと関心をもってもらう、野菜の力は素晴らしいということを感じてもらうツールになればいいと考えて、今日までやってきました。
 ベジブロスから始めるホールフードライフは、みんな健康で豊かに暮らしていきたいという願いを込めています。食べ物のことばかり気をつけるのではなく、農業や漁業のこと、どういうエネルギーを使っていくかということ、山の健康、海の健康、森の健康まで丸ごと考えていくことを「ホールフードライフ」と私は呼んでいます。それらを丸ごと考えていくことが、これからの日本の次の世代につなげていくために、私たち大人にできることではないかと考えています。
 安全な食べ物には、安全な水や土、空気が不可欠です。食とくらし、私たちの健康、環境は、つながっています。「ホールフードライフ」のきっかけとして、ベジブロスが少しずつ皆さんの食卓に広がって行けばいいなと、心から願っています。

農業者・消費者交流会

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 交流会に先立ち、東京都農業会議の青山会長からご挨拶がありました。
その後、消費者・農業者・行政のメンバーがグループに分かれて交流を行い、タカコ ナカムラさんにもご参加いただきました。参加者にも、野菜を丸ごと食べることや、食だけでなく自分たちのくらしや環境にかかわるという意識から生ごみをたい肥にするなど普段から意識している方も、大勢いらっしゃいました。
 農業者からは、「消費者は『無農薬が安全・安心』と言って買い求めるが、害虫や天候被害などにより農薬を使わざるを得ない場合もある。但し、法を遵守した範囲であり、健康に害はないということもわかってほしい。」「もっと消費者に情報を提供して行きたい。」「都市の農地を守っていくためには、法の改正や新規就農がしやすくなるように行政もしっかり取り組んでほしい。」など、様々な問題についての意見が出され、消費者も直接農業者の思いを聞くことで都市農業への理解が深まりました。
 都市農業や農業者を応援するためにも、お互いの思いを話し合うこうした交流が何より必要だと実感しました。

参加者の感想

・健康を維持するためには食べるだけでなく食べ方が大切であること。また、空気、水、山の健康まで含むということがよくわかりました。
・生産者として大変面白い話でした。
・生産者さんが頑張っている話を聞いて、地産地消が増えることを願っているし、応援していきたいと思いました。

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