もっと広げようコミュニケーションの輪~未来を拓く消費活動~10月は東京都消費者月間です くらしフェスタ東京2017
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【メインシンポジウム】講演会とミニコンサート

イベントレポート

場  所:東京ウィメンズプラザホール
日  時:平成29年11月1日(水)
      13:00 ミニコンサート
      佐藤杏樹さん(ハープ) 秋元桜子さん(オーボエ)
      14:05 主催者あいさつ
      東京都消費者月間実行委員会委員長 棚橋節子
      ((公社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会)
      東京都生活文化局長 塩見清仁
      14:15 講演
      国谷裕子(くにやひろこ)氏
      (キャスター、FAO(国連・食糧農業機関)親善大使)
      15:45 閉会

 東京都消費者月間事業は「東京都消費者週間事業」として始まった昭和53年から数えて、今年が40周年という節目の年に当たります。
 本年度のメインシンポジウムでは、開会に先立ち、消費者月間実行委員会の棚橋委員長から、月間事業へのご支援、ご協力に対する御礼の言葉がありました。また記念の年に当たり、東京都生活文化局の塩見局長から、40周年を迎えたことに対しての都民の皆さまへの御礼と、今後も消費者団体・事業者団体・東京都で協働して、「持続可能な社会の実現に貢献する消費行動」について、様々な機会に普及していく、と挨拶がありました。

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生活文化局 塩見局長

講演

「国谷裕子さんに聞く 新しいものさしSDGs(エスディージーズ) ~地球を維持するためにできること~」

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国谷裕子さん

◆SDGsとは◆
 皆さんは「SDGs」という言葉を聞かれたことはあるでしょうか?2015年、国連で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」の行動計画である「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」は、17の目標と169のターゲットからなる全世界で取り組むべき目標です。残念ながら、国連で採択された時も国内ではあまり報道されず、まだ広く認知されていません。
 SDGsの前文にはこんな言葉があります。「我々は地球を破壊から守ることを決意する。我々はこの共同の旅路に乗り出すにあたり、誰一人取り残さないことを誓う」 「No one will be left behind」(誰一人取り残さない)は、SDGsの大きな理念です。

◆17の目標について◆
 17の目標のうち、特に日本に関係ある目標について、具体的に幾つか見ていきましょう。

<目標1「あらゆる貧困を終わらせる」>
 2030年までに、大人、子供、女性など、あらゆる次元の人々の貧困の割合を半減させるという目標です。7人に1人の子供が貧困に陥っている日本にとっても無縁ではなく、かなり深刻で達成の難しい目標です。

<目標5「ジェンダー平等の達成、女性のエンパワーメント」>
 政治、経済、公共分野での意思決定における平等なリーダーシップが掲げられています。国会・地方議員、企業の管理職などの数値目標も定められています。これも日本にとっては、達成の難しい目標です。

<目標8「働き甲斐のある人間らしい雇用と経済成長」>
 同一労働・同一賃金の達成、安全・安心な労働環境の促進などです。途上国の労働環境に厳しい目が注がれています。ワーク・ライフ・バランス、長時間労働、過労死の問題など、日本にとっても大事なことばかりです。

<目標12「持続可能な生産と消費形態の確保」>
 2030年までに食料廃棄を半減させるという目標があります。日本は世界有数の食料廃棄国であり、年間食料消費の3分の1にあたる2800万トンが廃棄され、そのうち食べられるのに捨てられる量(食品ロス)は、632万トンにのぼります。これは実に世界中の食料支援の2倍にあたります。
日本の食料自給率は38%で、世界中から輸入した大量の食料の相当量を捨てていることになります。日本の果たすべき責任は大きく、消費者にとっても極めて身近な問題です。

 その他にも、
目標4「全ての人への質の高い教育の確保」
目標6「水と衛生の持続可能な管理」
目標7「持続可能な現代的なエネルギーの確保」
目標13「気候変動への緊急対策」
目標14「海洋資源の保全と持続可能な利用」
目標15「土地劣化、生物多様性の損失の阻止」

など、どれも関連し合った大事な目標ばかりです。

◆なぜSDGsが登場したか?◆
 一つには、国連が2000年~2015年に取り組んだMDGs(Millennium Development Goals)の課題があります。この目標は、先進国が途上国を支援して、貧困や飢餓を改善しようというものであり、かなりの成果を上げましたが、未達成の課題が残りました。
 二つ目として、地球環境の限界が認識されたことです。
 三つ目は、世界中で経済格差が急速に拡大し、各国でテロが発生し、地域が不安定になったことが挙げられます。
 この中で最も大事なことは、地球環境が限界にきているという事実です。人類は地球によって生命を維持しているが、この環境が崩壊するかもしれない、地球の限界が近づいているという危機感からSDGsが生まれました。

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会場の様子

◆地球環境の限界◆
 「我々は地球を救う機会を持つ最後の世代になるかもしれない」というSDGsの前文を読んで、それほど地球はせっぱつまっているのかと、私は驚きました。地球の危機を救うにはもうあまり時間がないという危機感を持つことが重要です。
 地球の危機の典型的なサインが温室効果ガスです。WMO(世界気象機関)発表では、2016年の温室効果ガスの平均濃度が過去最高を更新したとのことです。そのうち、CO2の濃度は産業革命以前の1.45倍となっています。
 NOAA(米・海洋大気局)は、2016年の平均気温は観測記録上、最高を記録したと発表しています。気温が1度上昇すると、大気中の水蒸気は7%増加します。
気象庁は、日本での最近の台風、豪雨は海水気温の上昇と関連していると発表しました。猛暑も豪雨もハリケーンも、悲鳴を上げている地球からの警告ではないでしょうか。
 2016年、自然災害によって住み慣れた地域を追われた人は2400万人に上ります。地球の生物多様性が急激に失われ、海の酸性化、水不足が深刻になっている地域もあります。

◆SDGs 関連する課題◆
 SDGsはそれぞれの課題がつながっています。例えば、気候変動とテロの活発化は密接です。
雨が降らなくなり、或いは水害が起きて農作物の生産ができなくなると、仕事がなくなります。貧困状態に陥った人々が都市に流入し、スラムが形成されます。そこで、ごみの問題、貧困、教育の問題が起き、スラムでの生活を余儀なくされている若者たちがテロ組織に入り過激派となり、社会が不安定化していくと見られています。
 FAO(国連・食糧農業機関)から、10月に衝撃的なデータが発表されました。減少傾向にあった世界の飢餓人口が2016年に前年より3000万人以上増加し、8億人を超えてしまったというのです。各地で長引く地域紛争と、地球温暖化による問題が絡み合って、食糧の確保が難しくなっています。SDGsは、このように連携している課題の悪循環の連鎖を断ち切り、好循環のサイクルに変えていくものなのです。
 我々の世代はまだ間に合うでしょう。しかし、子供や孫の世代は持続的な生活ができなくなるかもしれません。他人事といってすまされることではなく、全ての課題を自分事と思っていただきたいのです。
 海外では具体的な動きが出ています。フランスでは、2025年までに食料廃棄半減を目標に掲げています。昨年2月にはスーパーマーケットでは賞味期限切れの食料を捨ててはならないという法律が施行され、まだ食べられる食料はフードバンクが生活困窮者に援助しています。

◆我々消費者として◆
 ここにいらっしゃる方々に共通しているのは、全員が消費者であるということです。SDGsは消費者と企業との関係が非常に重要です。エシカル消費は今までは「エコ商品、環境に優しい商品を買う」という意味で使われていました。最近は、生産の際にCO2や産業廃棄物を排出していないか、海外工場で不適切な労働環境で製造されていないかなど、深く社会問題を考えながら物を選ぶという意味に広がっています。
 消費者がエシカル消費の視点を持つと、企業はSDGsに取り組まざるを得なくなります。また、投資家も企業に投資をする際に、SDGsを新しいものさしとして投資先を選ぶというようになっていきます。

◆ESG投資とは◆
 最近、ESG投資という言葉が話題になっています。ESGは環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)であり、ESGにきちんと取り組んでいる企業に投資しようという動きです。ヨーロッパでは投資額の52%、世界では26%がESG投資ですが、日本ではまだ3.4%です。企業が資金確保をする上でも、企業のトップがSDGsとESGを進めているということが評価につながり、世界中の機関投資家が日本企業に投資をする際に影響を与える時代がやってきています。
 消費者の行動、企業のルールを変え、社会の仕組みを変えていく大きな転換点を迎えています。まるで地球の資源が無限であるかのように私たちが突き進んできた大量生産、大量消費の時代は、地球の持続可能性に直面する中で、継続が不可能になってきたという事実に向き合わざるを得ません。
 国連副事務総長のアミーナ・モハメッドさんは言われました。「地球の持続性のために持っているものを手放せと言われたら誰でも惜しくなるものです。それでも私たちは豊かさを分かち合うすべを見つけなければなりません。自分の生活がだれかに害を与えていないかを常に考えるべきです。」

◆SDGs達成のために◆
 世界が共通の目標に向けて動く、言うは易しいが大きな軋轢が生まれるかもしれません。それをどう乗り越えていくか、それはこのままでは地球が立ちいかなくなるという共通の危機感を共有できるかどうかに掛かっています。
 私たちは決してあきらめずに、誰一人取り残さずに未来のことを考えて行動していきましょう。
 アミーナさんがおっしゃった言葉を最後にご紹介させていただきます。
 「地球は私たち人間無しでも存続できますが、私たちは地球無しでは存続できません。先に消えるのは私たちなのです。」

参考:「持続可能な開発目標 SDGsとは」(国際連合広報センター)

ミニコンサート

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ミニコンサート

 メインシンポジウムに先立ち、毎年ご好評をいただいているミニコンサートを開催し、ハープの佐藤杏樹さんと、オーボエの秋元桜子さんにご出演いただきました。
 「白鳥の湖より情景」「動物の謝肉祭より白鳥」など、若手演奏家の優しいハープとオーボエの音色に心なごむひと時でした。


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