もっと広げようコミュニケーションの輪~未来を拓く消費活動~10月は東京都消費者月間です くらしフェスタ東京2017
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【グループ企画】

イベントレポート

日  時:平成30年2月13日(火)
      10:30~12:30
場  所:東京都消費生活総合センター17階
      教室Ⅰ、Ⅱ
講  師:独立行政法人国民生活センター相談情報部相談第2課
      主事 保足 和之さん
      東京都消費生活総合センター活動推進課長
      佐々木 勝広さん
      NPO法人 開発教育協会(DEAR)
      八木 亜紀子さん
参加人数:65人
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会場の様子

 消費者被害はいっこうに減らず、その手口は年々巧妙化してきています。高齢者に限らず若者も同じようにトラブルや被害に巻き込まれており、消費生活センターなどに多くの相談が寄せられています。そこで、くらしグループでは、今年度「若者の消費者教育」をテーマに取り上げました。社会に出てから、消費者被害やトラブルに巻き込まれたときの対応力や、被害を未然に防ぐための知識や判断力は、若いころから身に付けておくことが重要と考えました。
 今回の公開セミナーでは、若者の消費者被害の現状や東京都における消費者教育、そして実際に学校で教材を使いながら消費者教育に取り組んでいる方からのお話を聞き、共に学び考える機会としました。

消費者被害の実態、特に若者の被害の実態

独立行政法人国民生活センター相談情報部相談第2課主事 保足 和之さん

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保足 和之さん

 保足さんからは、国民生活センターの概要、PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワークシステム)に見るトラブルの概要、実際の相談事例、若者の消費者トラブルの主な特徴についてお話しいただきました。
 国民生活センターのPIO-NETには、全国に約1,100箇所ある消費生活センターから年間約90万件の消費生活相談情報が寄せられています。相談で多いのは架空請求、アダルトサイト請求です。最近では、お試しで注文したと思っていた商品が、実は定期購入商品だったという相談が増えています。60歳代、70歳代以上からの相談が約35%を占めています。
 若者の相談内容では、男女ともにアダルト情報サイト、出会い系サイト、賃貸アパートなどが上位を占めます。男性は投資教材などお金儲けに関するもの、女性は脱毛エステ、痩身エステなどの美容に関するものも多くなっています。
 若者の具体的な相談事例では、契約したタレント事務所との仕事の内容についてのトラブルや、20歳になった途端に友人から仮想通貨の投資をすすめられ消費者金融からお金を借りたが、投資を解約して返金してほしいとの相談などを紹介いただきました。
 若者の消費者トラブルのキーワードは、『スマートフォン』『SNS』『借金・クレジット契約』とのことです。
 『スマートフォン』はいつでもどこでもインターネットに接続ができ、瞬時に膨大な情報を取得できますが、誤った情報に基づいて意思決定をしてしまう危険性もあります。また、検索で得た自分好みの情報をうのみにしネガティブな情報は好まない傾向にあり、よく考えずに契約をしてトラブルにつながっています。 『SNS』は多種多様な人といつでもどこでもつながることができ、直接会ったことがなくても『SNS』でつながった者同士の仲間意識が生まれ、相手を信用してしまいがちです。また、マルチ取引のきっかけとして利用されています。
 『借金・クレジット契約』のトラブルの特徴は、お金がないと断っても「借金をすればよい」と消費者金融での借り方などを細かく指南されて借金をしてしまうことです。マルチ取引が半数を占めています。クレジット契約ではエステなどの美容関連が多いとのことです。
 国民生活センターでは、報道発表やホームページを使って若者への注意喚起を行っています。ホームページでは、若者に多いトラブルに関する相談事例と解決結果を公表しています。また、啓発用クリアファイルを作成して全国の大学生協や成人式などで配布し『188』の周知などを行っているとのことでした。

東京都における消費者教育の取り組み

東京都消費生活総合センター活動推進課長 佐々木 勝広さん

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佐々木 勝広さん

 佐々木課長からは、東京都消費生活総合センターの事業体系、東京都の若者向け消費者被害防止啓発、消費者教育、協働による情報発信などの取り組みと課題についてお話しいただきました。
 東京都では、若者向け消費者被害防止啓発として、毎年1~3月に関東甲信越ブロック、国民生活センター、都内区市町村と「悪質商法被害防止共同キャンペーン」を実施しています。平成29年度は、ポスターやリーフレットによる広報だけでなく、若者に人気のあるタレントを起用してツイッターやフェイスブック等のSNSで動画広告を配信するなどの取組を行っています。ほかにも、若手芸人によるネット動画を配信するなど様々なツールを使って啓発しています。
 消費者教育の取組としては、教員向けに夏休み期間中に教員講座(法教育、契約、情報、環境、衣、食、住、金融等の実学13講座と電気、化学、食の実験実習講座)を開催しており、29年度は1,052人の受講がありました。また、教員向け情報誌「わたしは消費者」を年4回発行し、各学校や区市町村教育委員会に配布して情報提供をしています。
 若者向けには、毎年、テーマ・対象者(中学生・高校生向け、特別支援学校生向け等)を定めて、消費者教育DVDやWeb版消費者教育読本を作成しています。また、消費者教育読本「飯田橋四コマ劇場」を配布しています。
 さらに、東京都消費者啓発員を講師として学校に派遣して出前講座を行い、「届ける教育」も行っています。平成28年度は、学校に139回派遣し、約1万6000人の学生・生徒が①若者の悪質商法被害防止、②インターネットやSNSのトラブル防止、③お金の使い方・契約等様々な講座を受講しました。
 最後に、最近では新聞もとらない、テレビも見ない若者が増えており、そのような現状の中で若者へどのようにアプローチして情報提供し、啓発・教育していくのかが課題であると話されました。具体的には、①紙以外の多様な媒体・手法による啓発・情報提供、②大学との連携強化、③教育委員会との連携強化を挙げられました。成年年齢の引き下げも見据えて、自ら考え行動する主体的な消費者を育てるために若者への啓発・消費者教育に取り組んでいくとのことでした。

教材を活用した学校における消費者教育の取り組み

NPO法人開発教育協会(DEAR) 八木 亜紀子さん

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八木 亜紀子さん

 八木さんからは、教材を使った学校での取り組みを紹介していただきました。
 NPO法人開発教育協会(DEAR)は、2015年から3年連続で「消費者教育教材資料表彰」の優秀賞や大臣賞を受賞した団体です。開発教育とは、1960年代の国際協力・援助の実践の中から生まれてきた地球規模の諸問題の理解とその解決を目指し、これからの地域や社会のあるべき姿を考え、その実現に向けて参加していく教育・学習活動で、ワークショップとアクティブラーニングの参加型学習で授業を行っています。
 会場では、実際に中学生・高校生向けに使われている教材で2017年内閣府特命担当大臣賞受賞教材の『写真で学ぼう!「地球の食卓」~学習プラン10』を見ながら、八木さんからアクティブラーニング型の授業の進め方などをお話しいただきました。世界の様々な国の家族の1週間分の食料の写真を見ながら、グループごとにワークシートなどを使い“環境”や“食品ロス”などの様々なテーマで話し合います。課題を発見し、疑問や質問を出し合い合意形成をしていくことにより、人や社会、地球環境などにも配慮した考え方が育っていきます。
 よい教材の特徴とは、①興味をひく多様な写真があること、②すぐに使えるワークシートがあること、③アクティブラーニングに適切なこと、④1つのテーマだけなく多様なテーマに展開できること、⑤社会科、家庭科などいろいろな教科で使えることで、先生が使いやすい教材は学校でもよく使われるということでした。最後に、「賢い消費者」とは、被害者にならないだけでなく、加害者にもならないこと。これからも、そのための視点を育む教育を作っていきたいと結ばれました。

参加者の感想

・ものの売り買いが簡単に行われ、実際の経験から行うことなく架空の世界のように「契約」を行ってしまう。消費者としての責任をしっかり自覚しなければならない。そのための教育をしなければならないと思う。
・被害の概況(成年を境にして件数被害額が増える)が理解できた。また施策の方針や新しい取り組み(動画、SNS、Webを用いた啓発)を理解できた。写真などを多用し、教育の現場で使いやすい教材なども非常に勉強になった。
・わかりやすく説明をいただき、とてもためになった。
・若者の消費者教育は小学校高学年から必須で進めるべきだと思います。子供たちが、少しずつ消費者教育を段階的に学ぶための支援が大事だと思います。
・いろいろな角度からの消費者教育の話を聞くことが出来ありがとうございました。
・消費者被害の被害内容は、自分が若いときからあった被害内容。結局、永遠のテーマで、いたちごっこ。わかっているつもりでもだまされてしまうのだとすれば継続して取り組んでいくしかない。
・高齢者の被害防止に関心がおかれがちなので、若者の問題にも目を向けなければと反省させられた。
・娘が今年18歳になりますが、国民生活センターのチラシ「20歳の君へ」を早速見せたいと思います。DEARの報告、教育のあり方について考えさせられました。

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