もっと広げようコミュニケーションの輪~未来を拓く消費活動~10月は東京都消費者月間です くらしフェスタ東京2017
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【グループ企画】

環境・食グループ公開セミナー
イベントレポート

日  時:平成29年11月14日(火)
      10:30~12:30
場  所:東京都消費生活総合センター17階
      教室Ⅰ、Ⅱ
講  師:高田 秀重さん
     (東京農工大学農学部環境資源科学科 教授)
主  催:東京都消費者月間実行委員会
参加人数:94人
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高田秀重さん

 環境・食グループは、今年度、マイクロプラスチックによる海洋汚染をテーマに取り上げました。その結果、マイクロプラスチックが私たちのくらしから発生し、ブーメランのように私たちのくらしを脅かしているのだということに気づきました。今回のセミナーでは、その発生のメカニズムや影響について、映像や現物により詳しく伺い、私たちが消費者として「買う、使う、捨てる」という行為の中でどのような選択をすれば良いのかを深く理解する機会となりました。

1 マイクロプラスチックのできる原因

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マイクロプラスチックの説明

 マイクロプラスチックとは5mm以下のプラスチックのことで、マイクロとは小さいという意味です。気象庁は太平洋上からサンプリングしていて、東京海洋大学では東京湾内でも採取しています。
 マイクロプラスチックの供給の起源は様々あり、一つはポイ捨てされたり風で飛ばされたりしたプラスチック製品の破片です。現在、年間3億トンのプラスチックが生産され、それは石油産出量の8%にも上ります。そしてその半分は容器包装用プラスチックなのです。
 次に、化学繊維があります。いわゆるフリースは、1回1着の洗濯で2千本の化学繊維を放出します。中国の研究では、貝の中にファイバーが混入しているのを確認できます。
 洗剤を使わないで汚れが落ちると言われ普及しつつあるメラミンフォームスポンジは、その欠片が排水と共にそのまま放出されます。
 また、洗顔料や化粧品の中にもマイクロビーズ(スクラブ)という極小のプラスチックが混入されているものがあります。これらは下水処理では排除できないくらい小さいのです。
 レジンペレットはプラスチック製品の中間材料ですが、これが海岸に漂着しているという報告もあります。工場内や輸送中にこぼれ落ちていると考えられます。
 こうしたものが河川を通じ海へ流れていくのです。

2 海洋生物による摂食

 海洋プラスチックは海の生物に摂食されます。ミッドウェー島のアホウドリが吐き戻したものや、最も長距離の渡りをするハシボソミズナギドリの消化器官からも検出されています。
 東京湾のイワシ64匹のうち49匹から平均2~3個検出され、多い個体からは14~15個も出たものもあります。そのうちの9割はプラスチック破片で、1割はマイクロビーズでした。

3 プラスチックは有害化学物質を含んでいる

 海洋生物に摂食されたマイクロプラスチック自体はそのまま排出されますが、プラスチックの成型等に添加剤として使われる化学物質は、そのまま体内に残り吸収される可能性があります。そしてそれは有害物質なのです。
 かつて問題となった「環境ホルモン」は今ではあまり話題に上らなくなりましたが、無くなったわけではありません。ボストンタフツ大学の研究で、プラスチックプレートから溶出することが明らかになったノニルフェノールは、雌雄同体の魚、ヒトの子宮内膜症、乳がん、精子数の減少、生殖器の萎縮などに影響する「環境ホルモン」です。
 ノニルフェノールは、酸化防止剤や静電防止剤として食品用保存袋、使い捨てポリ手袋、お弁当容器、プラスチックコップ、ペットボトルの蓋などに使われています。
 また、現在はストックホルム条約で規制されているPOPS(Persistent Organic Pollutants、残留性有機汚染物質)は使用禁止後も海に残留しています。
プラスチックは、周辺海水中に残存しているそうした汚染物質を吸着し、有害化されるのです。
 そして、魚介類に摂食されて吸収された有害化学物質は、ヒトの体に移行・蓄積する可能性があります。

4 世界に広がるマイクロプラスチック汚染

 東京湾、皇居桜田壕、アジア・アフリカで堆積物コア(ボーリングで柱状に抜き取った試料)を解析すると、マイクロプラスチック汚染の進行が確認されています。このように、汚染は世界中の海に広がっています。今、何も手を打たなければ、将来取り返しがつきません。海の中ではプラスチックは分解しないでずっと溜まり、だんだん細かくなっていきます。網ですくって取ろうとすると魚の卵やプランクトンも一緒に取ってしまい、生態系への影響も大きいのです。海洋のマイクロプラスチックは除去できません。
 海洋プラスチック汚染低減のための対策として、海岸、河川、街の清掃をする活動なども広がっていますが、根本的にはプラスチックを減らしていくことが重要です。
 アメリカでのマイクロビーズ配合禁止の連邦法成立、EUにおけるレジ袋削減政策の義務付け、米サンフランシスコ市でのペットボトルの飲料水販売禁止、フランスにおける「プラスチック製使い捨て容器や食器を禁止する法律」成立など、様々な地域でプラスチック削減の動きは始まっています。また、国レベルで何らかのレジ袋規制が行われている国は20か国以上になります。
 この問題は国連でも議論され、海のプラスチック汚染は国際的に共通した懸念として認識されました。「マイクロプラスチック国際条約」を進める動きもあり、SDGsの14番目の目標には「海の豊かさを守ろう」と明記されています。
 リサイクルにはコストもエネルギーもかかります。まずはプラスチックを削減しなければなりません。これは世界的な動きです。

5 市民にできること

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マイクロプラスチックが水に浮遊していく実験

・3Rの促進を提案しますが、3Rには優先順位があります。最も必要なのはReduce(削減)であることを意識しましょう。
・使い捨てプラスチックの使用を極力避け、店頭などで断る勇気を持ちましょう。
・買い物で世界を変えることができるのです。それが食卓の安全を担保することにつながります。

質疑応答

Q1:日本ではレジ袋やペットボトルが減らないのは何故ですか?
A1:経済効率優先で、消費者にも使い捨てが便利という意識があるからです。
Q2:リサイクルできないプラスチックは埋めていますが、将来に影響はありますか?
A2:埋められているプラスチックから添加剤が水に溶け、環境ホルモンが川、海、地下水を汚染しています。
Q3:シリコーン製はどうですか?
A3:プラスチックではありませんが、同じように添加剤として環境ホルモンが入っている場合があります。

参加者の感想

・多数のデータや写真を駆使しての説明や、実物を見せていただき、マイクロプラスチックによる海洋汚染がよくわかりました。
・あまりに便利な生活に慣れすぎてしまった日常への、痛烈な反省を迫る内容でした。
・自らの消費行動を見直し、周囲の方々への呼びかけや広報に力を入れていきたいです。
・プラスチックは便利な素材ですが、SDGsの「使う責任」をしっかり認識して消費していきたいと思います。
・プラスチック包装や袋を便利に使用しているし、代わりになるものがないので、難しいなと、葛藤する気持ちです。
・「ごみの焼却は解決ではない」を肝に銘じます。

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