もっと広げようコミュニケーションの輪~未来を拓く消費活動~10月は東京都消費者月間です くらしフェスタ東京2017
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【40周年特別企画】

イベントレポート

日  時:平成30年1月22日(月)
      13:30~15:40
場  所:東京都消費生活総合センター17階
      教室Ⅰ、Ⅱ
講  師:■パネリスト
      池本 誠司さん(弁護士)
      磯辺 浩一さん
      (特定非営利活動法人 消費者機構日本 専務理事)
      阿南 久 さん
      (一般社団法人 消費者市民社会をつくる会 代表理事)
      ■コーディネーター
      永沢 裕美子 さん
      (フォスター・フォーラム〔良質な金融商品を育てる会〕事務局長) 参加人数:113人
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消費者庁 岡村和美長官

 東京都消費者月間事業は、今年度、消費者週間として始まった第1回開催(昭和53(1978)年度)から数えて40回目という節目の年を迎え、40周年記念シンポジウムを開催しました。
 当日は、東京で4年振りの大雪となりましたが、100名を超える方々にご来場いただきました。
 消費者月間実行委員会の棚橋委員長、東京都消費者生活総合センター工藤所長による開会の挨拶の後、消費者庁の岡村和美長官より、来賓のご挨拶をいただきました。岡村長官からは、これまでの消費者月間事業の取組に敬意を表された上で、消費者被害救済に関する消費者庁の取組(消費者団体訴訟制度の積極的な周知の取組、適格消費者団体の支援)をご紹介いただきました。また、本シンポジウムをきっかけに、コミュニケーションの輪が更に広がり、消費者庁を活用しよう、行政の中立、公正というフィールドで更に正しい消費者の市民社会を作っていこうという、同じ目標をシェアする仲間が増えることを期待したいと話されました。

●講演

最近の消費者被害と消費者を守る法律
~官民連携による被害防止に向けて~

弁護士 池本 誠司 さん

 最近の消費者被害の特徴、消費者を守る法律とその活用、消費者教育と消費者市民の育成について、分かりやすく説明していただきました。

1 最近の消費者被害の特徴

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池本誠司さん

・この30年間で、全国の消費者被害の相談件数は約7倍に増加し、年間約90万件で高止まりしています。
・相談件数のうち、1/3はインターネット取引の被害です。
・高齢者を狙う悪質商法も増加しており、この10年で約1.7倍に増加しています。マスコミの報道を知るだけでは行動しない人たちに、どう声をかけどう被害救済につなげていくか、どう守っていくかが課題です。
・2016年1年間の消費者被害の契約購入金額は、推計で5兆円を超えます。この消費者被害を防ぐというのは、その人にとっての財産を守るだけでなく、地域社会にとっても有効な還元となります。

2 消費者を守る法律とその活用

・訪問販売被害から消費者を守る法律は、未然防止のための事業者に対する義務付けと、不本意な契約を締結してしまった場合にどう救済するかというものがあります。この制度を高齢者などに周知をしていくことが重要です。
・インターネット取引には、クーリングオフ制度はありませんが、広告表示義務、誇大広告・虚偽広告の禁止、申込画面・確認画面の設定などのルールがあります。このような救済制度を知らない人が多いので、周りの人に伝える必要があります。
・行政処分のもとになるのは、消費生活センターに寄せられる相談です。消費生活センターに相談することは、自分が救われるだけでなく、新しい被害を防止することにもつながります。その意味でも、消費生活センターに相談することは重要です。

3 消費者教育と消費者市民の育成

・官民連携で高齢者の見守りネットワークを作っていく、あるいはインターネットの広告を監視して違反業者を行政や適格消費者団体に通報していく、このような行動を一人がやっていくのではなく、地域の中で消費者団体として継続的に調査・発信し、場合によっては行政も動かしていくことが必要です。
・消費者を押し上げていくための活動は行政だけでは力が及ばないので、行政は、消費者市民・消費者団体を育成して、その団体を行政が支えていくということが重要です。

 最後に、東京都消費者月間事業は、40年間、東京都と消費者団体とが協働して活動してきたものであり、今後も更に充実させてほしいと期待を述べられました。

消費者団体が訴訟をおこせる制度
消費者の被害の拡大防止と被害の回復のために

特定非営利活動法人消費者機構日本 専務理事 磯辺 浩一 さん

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磯辺浩一さん

 適格消費者団体が事業者の行う不当な行為(不当な契約条項の使用、不当な勧誘、不当な広告表示)に対して、差止請求訴訟を提起する権利が認められている「差止請求制度」、特定適格消費者団体が被害回復の訴訟を提起する権利が認められている「被害回復制度」についてご紹介いただきました。
 「差止請求」については、差止請求の対象についての例示や、実際に差止請求の対象となった契約条項が是正された事例等について、分かりやすくご説明いただきました。
 「被害回復」については、この制度を活用できる特定適格消費者団体が、現在、消費者機構日本と消費者支援機構関西の2団体あり、まだこの制度を利用して訴訟になった案件はないとのお話でした。この制度を活用することでの消費者のメリットとしては、①裁判の第一段階目で事業者の義務がはっきりしてから、個々の被害者が手続に参加すればよいこと、②個々の消費者が負担する訴訟の費用も、現在より低廉になることとご説明いただきました。また、消費者機構日本で行った、被害回復又はその未然防止のために裁判外で要請を行い解決した事例についても、ご紹介いただきました。

知って、伝えて、安心して暮らせるまちをつくろう!
~消費者活動の“連携”促進!~

一般社団法人消費者市民社会をつくる会 代表理事 阿南 久 さん

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阿南 久さん

 適格消費者団体を支援するために、NPO法人消費者スマイル基金を設立し、現在、6団体に差止請求訴訟の財政援助をしたことをご報告いただきました。消費者スマイル基金では、この裁判の内容や助成事業を分かりやすく紹介する取組も大切に考えていること、助成事業が寄付によって成り立っていることも紹介し、協力の呼び掛けがありました。
 また、消費者被害の増加については、消費者力の不足が原因と指摘されました。一人暮らしの高齢者も増えており、人と話す機会が減り、情報が不足し、消費者力が落ちていることから、情報を伝え合い、学び合い、助け合っていくという地域づくりがこれからのポイントになっていく、消費者団体の出番だと思っていると話され、見守りネットワークの必要性について述べられました。 
消費者月間実行委員会の取組は、まさに連帯組織であり、今後どうやって幅広い活動に発展させていくかがこれからの課題であるとの指摘をいただきました。

パネルディスカッション

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パネルディスカッションの様子

 続いて、パネルディスカッションを行いました。
池本さんからは、弁護士会と消費者団体が一緒になって運動を作って法律を変えたというエピソードを伺いました。そうやって法改正をしたことによって、被害件数は目に見えて減っていること、大勢の人が集まって行動することが、国会議員を動かすためには必要不可欠であることをお話しいただきました。
 また現在、行政からの委託事業で、「被害防止サポーター活動推進事業」と「インターネット適正広告推進事業」を行っていて、地域の消費者団体とつながりをつくっているそうです。地域の消費者団体の中にそういったものを見る目、声をかける力を広げていく、実はそれは私たちの仲間を増やすことにつながっていると話されました。
磯辺さんからは、消費者の皆さんから、たとえば身近な広告などで、これは事実と違うのではないか、また、契約書でも一方的な契約条項があるがいいのか等の情報提供を是非いただきたいと呼び掛けられました。また、逆に消費者団体の皆さんが学習会を実施する時に、「不当な契約ってどんなもの?こんな契約条項は変だよ」というようなことをテーマとして設定していただき、その際に、お問い合わせいただければ、最近の事例の中から具体的にフィードバックすることができるので、一般の消費者に広報される際の材料提供者としても、適格消費者団体を活用してほしいとのお話でした。
 阿南さんからは、若い人たちに消費者団体の活動にどう参加していただくか、ヒントをいただきました。これまで、若い人たちが参加しやすい形を消費者団体側が提案できていないので、たとえばデザイン学校の方に、クイズラリーの絵を描いてもらうとか、こんな場があるから少し手伝いに来ないかというように呼び掛けるとか、知恵を出すよう話されました。また、学んだことを様々なところで、発信し伝えていく、つながりをつくっていく、そのことが自分の使命だと思っているとのことでした。

参加者の感想

①講演内容から現在の状況がよく理解でき、大変参考になりました。次世代の方々とどう力を合わせられるかが、これからの大きなポイントかと思いました。
②改めて消費者団体の存在の意義を確認することができました。消費者団体の運営は財政的にも厳しいので、行政の支援、連携が必要だと思いました。
③消費者被害の未然防止、救済には見守りネットワークの構築、機能充実がやはり必要だと思いました。
④地道な活動ではありますが、とても重要な役割が自分たちにあることを改めて感じました。手法をこれから考えていきたいです。

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