もっと広げようコミュニケーションの輪~未来を拓く消費活動~10月は東京都消費者月間です くらしフェスタ東京2016
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【メインシンポジウム】 牛窪 恵さんに聞く、未来を拓く消費生活とは?!

イベントレポート

「草食系男子」「おひとりさま」などの言葉を広めた牛窪恵さん。世代別の消費行動に顕著な差が見られる現状を踏まえ、個人消費の行方や、持続可能な社会に向けて未来を拓く消費生活はどうあるべきか、消費者の視点でお話をいただきました。

場 所:新宿明治安田生命ホール
日 時:平成28年10月26日(水)13:30~15:30
     13:30 委員長開会あいさつ 山下 陽枝(NPO法人 東京都地域婦人団体連盟)
     13:35 講演 牛窪 恵氏(マーケティングライター)
     15:10 ミニコンサート 大山 大輔氏(バリトン)伊藤 李氏(ピアノ)
     15:30 閉会

講演「世代別消費行動から見えてくる未来」
           ~変わりゆく個人消費の行方~


はじめに
 私の本業は、取材して物を書くことです。一番最初に書いた本が「おひとりさまマーケット」に関する本でした。今からもう12年前です。この本を書いたのは、一つには結婚しない男女が90年代後半から非常に増えてきたこと、もう一つは女性の活躍、女性の自立がちょうど言われ始めた年代だったということからです。
 実は、2030年には「おひとりさま」が全人口の半数になると予測されています。この「おひとりさま市場」は、日本にとっては全く無視できないマーケットになります。
 また、昨年の内閣府の調査では、今の20代の若者の7割に恋人がおらず、その4割が「恋愛は面倒だ、恋人はいらない」とはっきり言っています。
 今後、「シングル男女」「単独世帯」の割合は増大の一途をたどります。このように世の中の変化はある程度数字から読み取ることができます。

マーケティングとは?
 マーケティング調査とは、大まかに言えば、「定量調査」と「定性調査」の2種類です。
 「定量調査」は、大人数に対し、手配りやインターネット等による同一アンケートで調査し、「数で傾向」を見ることです。「定性調査」は、少人数に対し、1対1やグループインタビュー等により対面形式で調査し、「言葉と表情で内面」を知ることです。この二つを照らし合わせて、時代の「兆し」を読んでいきます。
 膨大なデータ、いわゆるビッグデータを分析するときも、「定性」の概念は重要です。

なぜモノが「売れない」「欲しくない」のか?
 景気とは関係なく、そもそも「欲しいモノがない」「購買意欲が湧かない」という消費者心理の問題があります。ここからは、人口ピラミッドから「マーケットサイズ」を読んでいきましょう。
 2015年の国勢調査を見ても、一番人口が多いのはいわゆる団塊世代です。この子供ぐらいの世代が団塊ジュニア世代で、現在40~45歳になっています。この世代が人口の2番目の山だったのに、なぜ次の3番目の山が来なかったのか?
 なぜなら、彼らはバブルがはじけて就職氷河期を迎え、労働者派遣法ができて非正規労働者が増えた世代にあたります。「貧乏くじ世代」とも言われ、なかなか結婚・出産できず、少子化の傾向に歯止めがかかりませんでした。
 2050~60年には1.2人の労働力人口が1人の高齢者を支えることになり、このままでは社会保障は事実上破たんします。あと10年以内に、根本的に手を入れなければなりません。
 増大する「おひとりさま市場」の対応として、家電メーカーでは「プチ家電」、食品メーカーでは「プチ食品」を発売するなど、量や数を減らして、付加価値の高い提案をして、買い替えを誘ったり、値段の高い商品を販売したりしています。
 若い人はあまり物欲がありません。「シェアリングエコノミー」という言い方がありますが、「買わなくても楽しめるモノ・コト」が続々と登場し、同じ趣味を持つ仲間とシェアする幸せや、SNSの「ネタ」になることを求める傾向にあります。

なぜ「一億総活躍」「働き方改革」なのか?
 現在の政府が、「働き方改革」や「輝く女性推進」を強く訴えていますが、その背景には、少子高齢化で労働力人口が減っていくことがあります。このままでは、2030年に労働力人口が950万人以上不足します。
 2010年には改正育児介護休業法が施行され、「イクメン」を推奨し、2020年までに「パパの育休取得=13%」を目指しています。
 日本は世界的に見て女性の地位が低く、ジェンダーギャップ指数では世界で111位(2016年最新結果)であり、先進国では類を見ないほど女性の社会進出が遅れています。一方、女性の高学歴化で、団塊ジュニアのママ達は7割が働いています。働き方を改革し、働くママ達を支援しようと、「在宅オフィス」に取り組む企業も増えています。ここを真剣にやって行かないと、労働力人口が確保できないのです。

昨年~今年のトレンドは・・・・・?
 今年の4月から中国政府が関税を引き上げ「爆買い」は少しなりをひそめていますが、高級品でなく、日用品が売れています。外国人観光客は昨年末に2000万人に近づき、政府は2020年目標を4000万人に定めています。
 ここ数年のヒット商品を見ると、一つのキーワードは「二世代・三世代消費」です。また、ドローン等もヒットしており、「モバイルで充実生活=モバ充」もキーワードになっています。昨年は「ウェアラブル端末元年」と言われました。AI(人工知能)の発達により、住まいや家電、車が「スマート」化し、2025年をメドに、暮らしは大きく様変わりしようとしています。
 一方で、普段は格安の物を買うが、特別な時には高い物も買う「メリハリ消費」、リタイアした団塊世代が高額の鉄道旅行のリピーターになるなどの「Neoシニア消費」も活発に動いています。

世代特性にも戦略のヒントがある!
 =バブル世代(40代後半~50代)~
   さとり世代(主に20代)

 消費者の意識とトレンドは、多感な青春時代の景気に大きく左右される傾向があります。「新人類」以降の世代別に消費動向を見ていきましょう。

○新人類(1959~64年生まれ・現52~57歳)
 バブル予兆期から全盛期に大学・社会人時代を謳歌した世代です。特に女性は海外旅行経験が豊富でグルメ志向も高いですが、一方、男女雇用機会均等法が施行されたものの、まだ採用現場や職場では男女格差が激しく、現実には生涯の職に就けた女性は少なく、専業主婦になっても「自分らしさ」を持ち続けたい、輝きたいとの願望が強い女性が多いのが特徴です。

○真性バブル世代(1965~70年生まれ・現46~51歳)
 バブル最盛期に青春時代を過ごし、就職数年後に男女雇用機会均等法が社内に浸透。いわゆる「バリキャリ志向」の女性が多いですが、バブルがはじけ、男性は結婚に二の足を踏むようになり、20代・30代のシングルが増加し、主婦と勢力を二分し始めました。バブル女子をひと言で言うなら、「アイラブ自分」世代です。
 このバブルがはじけた90年代半ばから、「一生働ける職場」が急増し、女性の社会進出が進み、未婚化が促進されました。2015年には、30代女性の28.5%が、30代男性の40.5%が未婚です。さらに、29歳以下では、生涯未婚が女性の「4人に1人」、男性の「3人に1人」になると予測されており、シングル女子による「おひとりさま」消費、シングル男子による「独身王子」消費がますます増大していきます。

○団塊ジュニア世代(1971~76年生まれ・現40~45歳)
 この世代の多くは「団塊世代」の子供たちです。さあ就職という直前にバブルがはじけ、「就職氷河期」を体験、人口のボリュームゾーンで競争も激しく、思いどおりの職に就けなかった女性も多く、「貧乏クジ世代」とも言われています。
 ブランド志向やバリキャリ志向は残りますが、一方で派遣社員が増え、お金のかからないレジャーが流行りました。「シンプル族」が台頭し、ノンブランド志向の若者が増えました。また、団塊世代の母娘が共に消費する「Hahako(母娘)消費」が現れました。

○アラサ―~草食系世代(1979~87年生まれ・現29~37歳)
 雇用が少しずつ回復する一方で、ニートやフリーターが急増した世代です。職場では「ナンバーワン」より「オンリーワン」で、ガツガツ競争するより周りとゆるくつながりたい、という意識があります。ご近所&イエナカ消費、おうちデートに慣れた世代であり、「癒し」を強く求める傾向にあります。20代、30代男女は堅実に貯金する傾向ですが、その最大の理由は「老後の生活のため」であり、漠然とした将来不安が、この世代を「嫌消費」に向かわせています。彼らは「地元」志向で、地元での就職や婚活支援、地元応援型プロモーションが盛んになりました。
 また、家族も大事にし、母の日消費はクリスマス消費より大きい「5300億円市場」になっていると言われています。

○ゆとり世代(1988~1997年生まれ・現19~28歳)=さとり世代
 一人っ子が多く、小・中学校で「ゆとり教育」を受けた世代です。同調性やバランスを重視し、ネットやケータイが当たり前の「デジタル」世代でもあります。
 ある調査では、20歳の時点で「恋人なし」が女子でも7割、男子は8割もいます。また「恋人なし」の女子の4割が「欲しくない」と回答しています。 大人が考えている以上に深く計算し、消費の上でも「コスパ=コストパフォーマンス」を考えます。「誰かの役に立つ(社会貢献)」も消費ポイントです。 就職は「親元地元」。結婚後も、多くは親との「近接居住」を選択します。「友ラブ族、親ラブ族」「超メリハリ消費」「地縁コミュニティ志向」が消費のキーワードです。  

これからの消費を考える
 超高齢化社会は着実に進行し、団塊世代の介護が必要となる時期、2025年問題が到来します。
政府は「在宅介護」強化の方針ですが、現実には誰が看るのかが課題であり、企業も一部で「在宅勤務」を進めようとしています。
 若い女性は「専業主婦になりたい」という人が多いのですが、実際は無理だろうから、その時は割り切って働くという女性が大多数です。
 女性の「潜在労働力人口(約303万人)」が働きに出れば、経済効果は「プラス7兆円」とも言われています。その働く女性を支えているのは、「じいじ、ばあば」です。  「三世代」も消費に新たな可能性を与えます。「三世代」の取り込みのサービスを積極的に展開している企業もあります。
 働き方を改革し、「時短」を進めることは、未来の夫婦仲改善にも貢献すると思われます。男性が働き蜂でいることが、女性の社会進出を阻害している側面があり、男性が育児や家事をすることが今後非常に重要になってきます。「いまの流行語やヒット商品に、必ず次の時代のトレンドが隠れています」という言葉を最後に、本日の講演を終わりとさせていただきます。

ミニコンサート

続いて、毎年ご好評をいただいているミニコンサートは、バリトン歌手の大山大輔さんと、ピアノの伊藤李さんにご出演いただきました。 「ラ・マンチャの男」「オペラ座の怪人」より、大山さんがこのコンサートのために特に選ばれた歌曲がホールに響きわたり、しばしミュージカルの世界に浸りました。





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