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イベントレポート

日 時 :平成29年2月16日(木)10:30~12:30
会 場 :東京都消費生活総合センター17階 教室Ⅰ、Ⅱ
講 師 :洞澤 美佳さん(弁護士)
主 催 :東京都消費者月間実行委員会
参加人数:70人
洞澤美佳さん  消費者被害の手口は年々巧妙になっており、「自分は大丈夫」と思っていても、気づいたら被害に遭っていたという話はよく聞きますし、また、相談件数も非常に多いのが現状です。
 そこで、消費者被害を考えるグループでは、「実際に被害に遭ってしまった場合にどうすればよいか」をテーマに、弁護士の洞澤美佳さんをお招きし、事例を交えながら、法律的な観点から何がどこまでできるのか、解決方法や被害に遭わないための注意点などについてお話しいただきました。

そもそも「詐欺」とは

 定義するのが難しいのですが、一般の人と法律家が考える「詐欺」の捉え方の幅が違っていて、法律上認められている幅は狭いのです。「騙してやろう」「誤解させてやろう」ということは、内心に意図があったということですが、心の中を立証するのは非常に難しいので、法律上「詐欺」という言葉はあっても、それが認められにくいという実情があることを念頭に置いておくことが大事です。
 いわゆる「詐欺」とは、悪質商法、消費者被害などと言い換えられますが、特に高齢者の被害が深刻なのはなぜかというと、年金や退職金という貯蓄が狙われるからです。そして、高齢者が持つ3つの不安=「お金」「健康」「孤独」にうまくつけ込まれ、お金に絡む被害に遭ってしまいます。
 過去に悪質商法を行っていたという人物によると、「罪悪感はなくゲーム感覚。相手に取り入ることだけを考えた地道な努力とストレスの日々で、相手に『NO』と言われても無理強いはせず、相手の役に立つことをしながら信頼関係を作っていく」、こうした巧妙な手口で絡めていくそうです。手口の表面的なものからは分からない背景を頭に入れて、事例を見て「できることとできないことの仕分け」を学んでいただきたいと思います。

最近の被害事例

最近の被害事例を取り上げて説明すると次のようなものがあります。
  • 電話勧誘販売と訪問販売の被害が多く、在宅者が狙われる。
  • 時事ネタ、平和ネタ、環境ネタを巧みに取り込んで突いてくる。
  • レンタルオーナー契約のトラブル。
    レンタル商品はレンタル先に届くので、実体のある物かどうかがオーナーには分からない。
  • インターネット通販のトラブル。
    登録されてしまったという通知が来ても無視する。返信してしまうとそこから個人情報なども絡め取られてしまう。
 これ以外にも、劇場型勧誘、利殖商法、かたり商法、二次被害などありますが、一度承諾すると、そこからは坂道を転がるように契約させられていきます。

「契約」とは

 「契約」とは、法的な拘束力を持つ約束のことです。当事者同士の合意によって成立し、成立すると権利(債権)と義務(債務)が発生します。
 契約が成立すると、法律で契約解消について個別に規定されている場合を除き、当事者の一方的な都合で解消したり、内容を変更することはできません。契約を守らないと裁判→強制執行ということになります。
 契約は、当事者の意思と当事者の信頼保護の必要性に拘束されます。

悪質商法から消費者を守る法律

契約の拘束力から逃れるための仕組みの大枠は、次のとおりです。
  1. 契約は存在しているのか
  2. 契約は成立しているのか
  3. 契約は有効なのか
  4. 契約は取り消せるのか
  5. 契約は解除できるのか
 解除原因を明確にして、法律で認められないと、契約の拘束力から離脱することはできません。そして、そのツールは非常に少ないということです。契約を解除したいのなら、法律でどこまでできるのかという分水嶺を見極めておかなければなりません。
 「民法」は契約の一般法と位置付けられていますが、当事者の能力・立場が対等であることが前提の法律なので、悪質商法から消費者を守るために作られたのが、「特定商取引法」「消費者契約法」です。特別な法律が作られた背景には、供給者と消費者間の格差、消費者の弱さ、負担転化能力の欠如という消費者・消費者問題の特性があります。
 クーリング・オフは、相手に落ち度があるなしに関わらず、無条件に解除できる制度ですが、活用できる契約かどうかの判断が難しいので、消費生活センターに相談するとよいでしょう。
 また、クーリング・オフできない場合でも、他に取り消せる方法があるかもしれません。難しい場合は、弁護士に相談するとアドバイスしてもらえます。

消費者団体による訴訟制度

 行政だけでなく、一定の要件を満たした適格消費者団体が、事業者による不当な行為を差し止めることができる制度が、消費者団体訴訟制度です。
 消費者全体の利益擁護のために差止請求権を適切に行使できる適格性を備えた適格消費者団体と、消費者被害の回復ができる特定適格消費者団体があります。

法律は武器ではあっても万全ではない

 大事なのは“事実”です。第三者である裁判官に対し、契約を解除できる事実があったと主張する側が、それを立証しないといけません。契約書は、一つの大きな立証になります。
日常生活で気をつけたいことは、次のとおりです。
  1. 受け取った書類は、しばらくの間は全て取っておく。
  2. 断ることを恐れない。
  3. 一人で決めない。困ったら、消費生活センターへ行ってみる。
  4. 振込一つでトラブルが解消するなんてあり得ない。
  5. 汗もかかずに、簡単にもうけられる話などない。
  6. ざっくり理解できた、は言い訳にならない。署名押印は、大人の判断と推定される。
 裁判になると、時間的・経済的・精神的負担が非常に大きいので、被害に遭ってからではお金を取り戻すのは大変だ、ということを自覚することが大事です。