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イベントレポート

日 時 :平成29年1月17日(火)10:30~12:30
会 場 :東京都消費生活総合センター17階 教室Ⅰ、Ⅱ
講 師 :井出 留美さん(食品ロス問題専門家)
主 催 :東京都消費者月間実行委員会
参加人数:109人
井出留美さん  近年、政府は農林水産省や消費者庁が先頭に立って、食品ロスの削減についての広報に努めるようになりました。環境・食グループは、それだけ「食品ロス」が見過ごせない大問題であり、緊急を要する課題であると改めて認識しました。
 そこで、「食品ロス」の現状を知り、消費者が今すぐ実践できることは何かを学ぶために、食品ロス問題専門家の井出留美さんをお招きしました。

食品ロスの現状~食べられる物が捨てられる

 食品は、世界的にみると年13億トン廃棄されていて、これは食料生産量の3分の1が捨てられていることになります。フランスでは2016年に大手スーパーの売れ残り食品廃棄を禁ずる法案が可決され、続いてイタリアでも立法されました。
 日本では、魚の消費量とほぼ同じ632万トンの食料が捨てられています。東京23区内での調査では、賞味期限が十分残っている食品がごみとして出されています。金額にして全国で11.1兆円、1世帯あたり年間6万円を捨てていることになり、そのごみ処理費用は5千円にも上ります。
 食品ロスの内訳は家庭から302万トン、企業から330万トンとほぼ互角である上、企業の廃棄には消費者の消費行動が関わってもいます。例えば、皆さんはスーパーで消費期限、賞味期限の長く残っている商品を奥へ手を伸ばして選んだ経験はありませんか。期限が迫って売れない商品は廃棄されてしまうのです。
 また、フィリピンで日本向けに生産されるオクラは、1つの会社で600トン~1000トンのうち規格に合わず捨てられるものが100トン~200トン出ます。
 こうして私たちは一人あたり、毎日おにぎり1個分の「食品ロス」を発生させているのです。

キーワードはReduce(廃棄物の発生抑制)

 こうした「食品ロス」を抑えるためには、「適度な生産と消費」つまり「作りすぎない、買いすぎない」ことが重要です。農林水産省は、食品産業における食品廃棄物の発生抑制を最優先課題と位置づけ、「食品産業発生抑制目標値」を掲げています。また、消費者庁は、「食べものに、もったいないを、もういちど。」のロゴマークを作り、食品ロス削減国民運動を呼びかけています。加えて環境省、内閣府、文部科学省、経済産業省の6省庁が連携して取り組んでいます。
 食品業界では、食品ロス削減のための商習慣検討ワーキングチーム(農林水産省補助事業)を作り、発生抑制に取り組む企業も増えています。

食品業界がとるべき食品ロス削減のアプローチ10の視点
~ワーキングチーム検討結果から見えてきたこと

  1. 天候データ活用による出荷数の調整(増減)
  2. 賞味期限表示 年月日を年月に
  3. 賞味期限の見直し、安全係数の見直し
  4. 季節・数量限定の見直し
  5. 新製品、改訂品、SKU数(Stock keeping Unit 在庫保管単位)の見直し
  6. 3分の1ルールの見直し(納入期限が賞味期限の3分の1であること)
  7. 欠品ペナルティなど小売りから課せられる条件の緩和
  8. 日付後退品(日付が1日でも古いものは小売りに受け入れてもらえない)の許容
  9. 外食産業における食べ切りサイズの準備や持ち帰り推奨
  10. Reuse(再使用・再利用)

フードバンク~あまる食べものと困っている人の橋渡し

 それでも残ったものはReuse(再使用・再利用)することで、有効活用することができます。最近ではいわゆる「フードバンク」や「フードドライブ」が行われるようになっています。例えば、災害用備蓄品の期限が迫ったものをフードバンクへ寄付する東京メトロや、イベントで使われなかった食品を寄付する東京マラソンなどがあります。
 「食品ロス」が問題になるほど余っている食べものがある一方で、食べものに困っている人がいるというこの社会で、「フードバンク」は栄養ある彩り豊かな食事で両者の橋渡しの役割を果たしています。

もったいないをなくすための消費行動見直し10ポイント

 世界各国で、日本の各地域で、「食品ロス」を削減するための取り組みが始まっています。それでは、私たちが日常生活でできることは何でしょうか。
  1. 買いに行く前、冷蔵庫や戸棚の食材の量を確認する
  2. 空腹状態で買い物に行かない
  3. すぐ食べるものは棚の手前から取る(手前ほど期限の迫ったものが置かれている)
  4. 必要以上に買い過ぎない
  5. 調理中は、できるだけ食材を使い切る(過剰除去はありませんか?)
  6. 食べ切れなかった料理は別のものに変身させて食べる(やむを得ず捨てるなら水気を切って)
  7. 賞味期限はおいしさの目安、自分の五感も使って判断する
  8. 備蓄食品は、ローリングストック法、防災の日に食べる、フードバンクへ寄付する
  9. 外食の時は注文しすぎない、食べられる量を出す店を選ぶ
  10. 外食の時は残さない、残したら持ち帰って食べる

自分が消費することで弱者や未来の人の食べる権利を奪わない

 日本では、貧困線(年収122万円)以下の人は2,000万人いるといわれます。自分で考え、未来を拓く消費行動を続けましょう。それが、結局は豊かな消費生活につながります。

質疑応答

  • 日本ではフードバンクの活用がまだ低いのは何故ですか?
  • 食品の安全性への過剰な要求があるからです。日本では、食品にゼロリスクを求める傾向があります。
  • 小・中・高校生への消費者教育の方法は?
  • 「知る」と「実践する」とは違います。家庭と学校教育の両方で、子供たちが実践するように方向づけていくことが大切です。

参加者の感想

  • 自分の暮らし方を見直すと耳の痛い内容でした。すぐにできることから実践したいと思います。
  • データに裏付けられ、幅広い視点と経験に基づいた説得力のある講演で、大変勉強になりました。
  • 期限表示にとらわれすぎず、五感をフルに活用します。
  • 賢く消費するとともに、フードバンク、フードドライブに協力したいと思います。